○勝負を決める形勢判断を読む

bqsfgame2015-01-18

小林光一名誉棋聖の講座本と言えば、1989年の小林光一囲碁必勝講座三部作(講談社)が印象深い。
本書は、その14年後にフローラル出版から出た小林光一囲碁上達塾三部作の最後である。フローラル出版は実用書中心の出版社らしく、他にも結構な数の棋書を出しているようだ。
さて、本書は方円書庫で4つ星が付いており、形勢判断関係の本の中では良いと薦められている。
で、買って読んでみたわけだが、申し訳ないが期待したほどではなかった。
小林本の共通する強みは、講座部分が明解で丁寧であること。特に、非定量的な表現に逃げずに、定量的な表現や、善悪の明解な判断を下す所が特徴だと思う。
その意味では、本書は講座部分の分量が少なく、実戦問題の解答の中で説明を断片的にする形式になっており、割と判りにくい。小林名誉棋聖の対局から取っているが、局数を絞って、同じ対局の序盤、中盤、終盤が問題として再登場してくる。それはそれで構わないのだが、その対局に対する小林名誉棋聖の個人的な反省や思い入れが強めで、純粋な講座としては少し明解度が下がっているのではないか?
あと小林ファンとして興味深いのは、娘の泉美六段との対局、娘婿の張栩(当時六〜七段)との対局が取り上げられていること。この辺も学術色を薄めて、情緒的記述に寄っていると感じさせる一因かも知れない。
ただ、形勢判断で一冊を占める本は意外に少ない。方円書庫では、このジャンルの登録は5冊しかなく、その中で一番評価が高いのが本書である。そういう意味では、形勢判断は良い講座本が書きにくいテーマなのかも知れない。
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