時代の長さを比べてみる

井山対村川のタイトル戦を見て思うのは、早くも平成四天王の時代は終章を迎えつつあるのかどうかと言うことである。
試みに、それぞれの時代をタイトル保有で見てみた。
坂田時代:1961年の本因坊奪取から、1973年の十段まで12年間。
竹林時代:1965年の林名人誕生から、1994年の林碁聖まで29年間。
木谷三羽烏:1971年の石田本因坊誕生から、2002年の加藤本因坊まで31年間。
趙小林時代:1976年の小林天元誕生から、2002年の小林碁聖まで26年間。
昭和四天王:1982年の片岡天元誕生から、2004年の王立誠十段まで22年間。
依田時代:1995年の十段獲得から、2005年の碁聖まで11年間。
平成四天王:2001年の羽根天元誕生から、さてどこまで?
井山時代:2009年の名人獲得から、さてどこまで?
見ると気付くのは、大体5年周期で新しい世代が台頭していることである。1960年頃の坂田から、大体5年置きである。
しかし、1985年頃にあるべき波がなかった。見てみると、この時期は小林が棋聖、名人、碁聖の3つのタイトルを連覇して名誉号を獲得、本因坊戦では趙治勲が10連覇。さらに、天元戦では林海峯が5連覇している。この3人が若手の台頭を完全封鎖していたのだ。
もう一つ驚くべきは林海峯の息の長さである。他の時代が群雄伝であるのに対して、竹林時代は最初も最後も林であり、実に30年に近い。
これに続くのが加藤正夫で、最初の十段から最後の本因坊まで実に26年もある。
簡単な比較をしよう。林名誉天元と同じくらい長く活躍するには、たとえば張栩なら2032年にタイトルを持っていなければならない。現在、既に無冠であり、井山世代の台頭著しいのであるが、今から18年後にタイトルを保有していられるだろうか? 非常に難しいと言わざるを得ないだろう。林名誉天元は、そういう活躍をしてきた人なのである。