×ファイアーブランド三部作:ポセイドーンの審判を読む

bqsfgame2017-05-20

ブラッドリーのファイアーブランド三分冊を読み終えました。
評価保留としていましたが、最終的には×にしました。
リーダビリティは高いのです。しかし、面白かったかと言われると、とても肯定できません。
フェミニズム小説と言う評価がありますが、その通りです。しかし、フェミニズム小説であるにせよ、ないにせよ非常につまらない。
本作はイーリアスを下敷きにしていますが、前作で指摘した通りで女系社会の滅亡を描くことに主眼があります。そのため、本来のトロイ戦争の叙事詩としての醍醐味を欠いています。
さらに、イーリアスの名だたる英雄を、女性社会を破壊する暴虐的な人物として貶めて書くようにしているので、ますますダイナミズムに欠けています。
本書のカッサンドラの視点に立てば、パリスはただの下衆不倫男、それを受け入れて国を滅ぼしてしまう兄のヘクトールと父のプリアモスも不見識の極みです。敵のアキレスは、ただの戦さ好きの狂人。アガメムノンは、戦争に勝つために狂人アキレスの暴挙を見てみぬふりをする不見識な指導者です。
そんな低劣な指導者たちが戦うトロイ戦争が、魅力的に見える訳もありません。
そんなこんなで、非常に低調な感じで幕を閉じたので、まぁ再読することは在り得ないという評価です。
うーん、これを読んでしまうと、ダーコーヴァー年代記をわざわざ原書で読むという選択肢もなさそうですね‥(^_^;