ランプスアーゴーイングアウトの感想

と言うことで、初戦2時間、2戦目4時間ほどで、いずれも連合軍で勝たせていただきました。これはなにかの接待?
それはともかく、感想をまとめておきます。
全体として見た時に、なかなか面白くまとまった第一次大戦ゲームと思います。アフリカ戦線は、さすがになくても良いかと思いましたが、近東、Uボート戦なども入ったフルキャンペーンでありながら、非常にプレイアブルに纏まっています。
ユニットに戦闘力がないなど、非常にスマートにストリームラインされたデザインです。
しかし、以下の点は問題です。
1:技術カードの引きが偏りやすい。
技術カードは、数種類があり、レベルもあります。レベル1を引いてからでないとレベル2以降はヴォイドになります。初期状態だと、かなりハズレが多いのです。しかも、引いたハズレは直ぐにデックに戻すので、いつまでもハズレが多いままです。
ところが、順調にレベル1を引くと、レベル2が有効になり、デックが圧縮されるので当り率がどんどん上がっていきます。
結果として、順調な人はどんどん順調に、駄目な人はいつまでも駄目なままになる傾向があり、偏りが大きいのです。
2:技術カードの威力が大きく、相互作用が不明確。
第一次大戦ですから仕方がないのですが、塹壕が普及すると膠着します。それを突破するのは、重砲、戦車、毒ガスなどの新兵器です。この重要な新兵器が前項の通り偏るので、非常に具合が悪いです。そして、プレイヤーは技術カードについては、何の努力代も持っていないのです。
また、新兵器が両軍に存在して適用されると、カードの記述だけでは明確でないことが多発してきます。新兵器は命運を賭けた一戦に集中投入されるので、かなりややこしいことが互いに協議で譲れない場面で発生します。これは、競技ゲームとしては大幅減点と思います。
3:イベントカードの威力が大きく、努力代がない。
今回のルーマニア参戦が典型例ですが、イベントの威力は大きいです。ですので、どういうイベントがどの時期に発生してくるのかは覚えていないと非常に不利です。今回は持ち主の提督さんが嵌ったので、あまり後味の悪いことにはなりませんでしたが。いずれにしても、初見でプレイすると、イベントに後ろから一突きされてしまうことがあるのは、覚悟して置く必要がありそうです。また、イベントについても、一部、事前に予防線を張れる程度で、プレイヤーの努力代はありません。カードドリブンのように使うタイミングをマネージメントする仕組みではないのです。
4:大スタックによる大突破がゲームの大勢を決する
初戦でベルリンが陥落した時に思ったのですが、ゲームシステム的に巨大スタックが非常に強いです。巨大スタックは、攻撃に成功すると纏めて戦闘後前進できます。対して通常移動では2ユニットずつしか移動できません。ですので、大スタックで一気に押し込んでいく威力が、他のゲーム以上に大きいのです。似ているのは、「アメーバウォー」でしょうか。これはこれでエキサイティングではあります。ただ、「これが第一次世界大戦のシミュレーションかい?」という疑問は強く感じました。すごく違和感あります。

と言った纏めですので、「筋は良い」けれども「細部に神経が通い切っていない」デザインという気がしました。正直に言いますが、あまり褒めていません。
それにも関わらず、第一次世界大戦の全体像ゲームとしては、特にプレイ時間の手軽さを考えれば、トップクラスの出来栄えかも知れません。これと、中黒「第一次世界大戦」は、エリア式とヘクス式のそれぞれのテーマベストかも知れません。