企画としての妙味

南北戦争アメリカでは一大人気ジャンルです。しかし、多くのゲームは個々の戦いを描く会戦級か、全体を扱う戦略級です。中間の作戦級規模のゲームは、昔から多くなく、今でもプレイされている古典は皆無と言ってよいでしょう。
この規模では1992年に出版されたストーンウォールジャクソンズウェイに始まるGCACWシリーズが定番となっています。このシリーズが東部戦線の主戦場を網羅したことから、他のゲームはほとんど見掛けなくなりました。
本作は、ジャクソンズウェイに先立つこと4年、1988年に短命だったカウンターアタック誌2号の付録ゲームとして発表され、一部で高く評価されたもののメーカー、雑誌の販売力の低さから余り普及しなかった作品です。
本作の範囲は、西はハーパーズフェリー、東はバルチモア/ハリスバーグ鉄道までを切り出しています。このマップを使用して、リー将軍の62年のメリーランドキャンペーン、63年のゲティスバーグキャンペーンを別のシナリオでプレイします(連結はできません)。
リー将軍の北部侵攻は南北戦争のクライマックスです。その全体を一日でプレイできるゲームは、いかにも需要がありそうですが、意外に見つかりません。実はGCACWシリーズでも、この全体をプレイしようとするとシリーズの複数の作品を連結するようになり、ちょっとしたビッグゲーム化してしまいます。つまり、スケールが小さすぎるのです。
本作は、それを扱うのに一番適当なマップスケールを持っており、1ターン/2日間というタイムスケールなので、1862年の9月に戦われたメリーランドキャンペーンを全16ターンと言うプレイしやすい長さにしています。