○月と太陽の盤を読む

bqsfgame2017-12-14

宮内悠介です。
連作短編集になっていて、副題が碁盤師吉井利仙の事件簿です。
ミステリーに分類される本ですが、率直に言ってミステリーとしてはイマイチな感じです。
しかし、冒頭の青葉の盤は碁盤小説として、巻末のサンチャゴの浜辺は碁石小説として、すごく読み応えがあります。ですので、総合的に見て一応○としました。
今では囲碁もパソコンで打つものになりつつあり、碁盤はまったく見掛けなくなりました。有段者でも脚付きの碁盤を持っていない人が増えていると思います。筆者もその一人です。碁石だけは、それなりのもの(確か雪34号)を買いましたが。
そんな時代だからこそ、こうした碁盤、碁石への情念の籠った小説を読むと興味深く感じました。碁盤小説に徹してもらった方が面白く仕上がったのではなかったかという気がします。