×ミュータントを読む

bqsfgame2018-04-04

ハヤカワ銀背です。
ミュータントテーマの古典の一つ。浅倉先生の訳業です。
となると、かなり期待できそうですが、読むとガッカリします。
なによりリーダビリティが悪い。かなり集中して読んでも、さっぱりページが進みません。文章も読みにくいし、ストーリー展開も心理描写ばかりが重厚で、あまり盛り上がりません。
まぁ、原爆戦後に生まれたテレパスたちが、その能力を知られるとリンチに会うと恐れてひっそりと隠棲するお話しですから、元気溌剌とは行きません。
それにしても、読みにくすぎと言うのが実感です。
ヴォクトの「スラン」と比較される作品だそうですが、「スラン」がアスタウンディングに連載されたのは1940年。本作は、最終部以外は同じアスタウンディングに45年に掲載されました。
5年の歳月を隔てているとは言え、同じ雑誌に同じテーマで書いたのですから意識していない訳はありません。
と言うより、良い作品を読むと、すぐに器用に模倣してしまうカットナーが、例によって「スラン」を模倣して書いたのではないかと疑ってしまいます。「スラン」より、シリアスを狙って書いているのだと思われますが、それが悪い方に作用している印象です。
これは文庫化されなくても無理ないかなと言う感想です。