戦闘機:第二部、空軍大将ヒュー・ダウディングを読む(引用)

第二部はRAF勝利の立役者でありながら人付き合いの悪さで左遷されたダウディングです(笑)。

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p131

いやそれよりももっと深刻な問題は、戦闘機パイロット供給の流れの幅をもっと増やすのには不可欠の、訓練教官の養成に要する期間をどうやってひねり出すかという点にあった。大戦の勃発は練達の戦闘機パイロットの絶対数の不足を浮き彫りにしてみせたばかりでなく、そうしたパイロットを教育する教官の人数の絶対的不足をも痛感させたのであった。

p137

ゲーリングと同じ戦略理論にのっとって、イギリス空軍は大規模な空襲作戦を計画し出撃させたのである。

(中略)

爆撃機軍団はルール地方にある石油工業地帯を目標に選んだのである。

(中略)

フランスは半狂乱になって、ルールなど爆撃したところで、グーデリアンの機甲軍団の行動には何の影響も与えることになりはしないと申し入れてきた。

(中略)

イギリス空軍公刊戦史の記述にはこの夜間作戦のくだりで、「目標に到達したるもの一機もなく、‥」とあるが、続けて、最大の戦果は、「ドイツ空軍に対しロンドンを爆撃することを非公式に要請」した点にあった、まことに皮肉な言及をしている。

p139

この日の閣議でのやりとりやおかれた立場に関しては、ダウディングは生涯頑として口をつぐんで何人にも語ってはいない。

(中略)

だがダウディングが説明を許されたことは、52個中隊が必要とされるイギリス本土防空用戦闘機兵力が、すでに36個中隊にまで減ってしまっているということ、フランスでハリケーンが目下のような高率で撃墜され続けているのであれば、今後二週間以内に一機も残らなくなってしまうということの、わずか二件だけだったのである。