眉村卓追悼:〇深夜放送のハプニングを読む

秋元文庫です。黄色い背表紙の、今で言うライトノベル系の叢書。昔は良く学級図書とかで見かけたものですが、いつの間にかなくなりました。秋元文庫を専門に扱ったサイトがあったそうなのですが、サービス終了で見られなくなっています。

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眉村先生は秋元文庫にかなりの冊数を提供していて、同文庫のSFの流れを牽引しました。

本書ですが、二本の中編から成っています。二本合わせても220ページしかありませんので、すぐに読み終わってしまいます。

表題作は、深夜放送のパーソナリティを務めるイラストレーターが、番組の投書や他の曜日の担当者のちょっとしたハプニングに巻き込まれるストーリーです。特に後者のミクロネシアでもらった呪いの仮面はちょっと怖い話しですが、特にストーリー的に発展せずにさらりと終わってしまいます。眉村先生自身もラジオパーソナリティーをされていたことがあるので、ラジオ局の描写はお手の物です。

凝った世界設定も、波乱のストーリーもないけれども、それでもぐいぐいと読ませる手腕はさすがです。

もう一本の「やみからの誘惑」は、中学生の主人公が新任の妖しい美人教師に新設部活に誘われる話です。実は彼女はミュータントで、その組織からミュータントの資質を持つ若者を集めるために教師になったと言うのです。

こちらはいかにも眉村ジュブナイルの神髄です。しかし、あまりに寸が短すぎ、展開が大きく発展しない内に収束してしまうのが残念です。

やっぱり眉村ジュブナイルは素晴らしいなと思うのですが、どれを読んでも同じような話しと言えば、そう言えなくもない気がします。

と言うことで、次は長年の懸案のままになっている「不定エスパー」をこの機会に読んでみるかどうか思案中です。

いや、こういう機会だからこそ大作「消滅の光輪」を読んだものでしょうか。