キース・ローマーです。
中学時代は何度も読んだものですが、高校以降に読んだ記憶はないので32年ぶりでしょうか。
奥付を見ると昭和46年初刷。ハヤカワ文庫SFの26番という初期のものです。
最近、ハリスンを読んでいて、特に「テクニカラータイムマシン」を読んだら、ローマーを思い出しました。「混線次元大騒動」あたりはテイストと言い装丁と言い、かなり似ていた気がします。
解説に引用されているアナログ誌担当者の「賞をとるほどのできでもないし、将来ベストSFのリストに入ることもないだろう。だが決して退屈させない」に言い尽きていると思います。
エンタメ色の強い中堅多作作家です。ブラナー、ハリスン、変身前のシルヴァーバーグ、初期のディックなどと並んで、アメリカSFの厚みを形成している作家の一人と思います。
破くことも燃やすこともできない日記を見つけたことから始まります。
謎の発光球体の群れに襲われ、信じられない年齢の男と出会い、ストーンヘンジへと。次々に物語は進んで行き、進歩した技術を持つ星系を訪問すると、なぜか中世社会のように後退していることを発見します。
周期的に若返り、その時に後天記憶をすべて失うので、それに備えて記憶を記録して置いて再入力するという設定です。なので、前世再生機な訳です。
傑作とまでは呼びにくいのですが、肩の凝らないエンターテイメントとしては合格点を大きく越えていると思います。
原作は1963年だそうですが、そんな古さは感じさせません。