△刺客三人を読む

大富豪同心の8作目です。

△にしました。最大の理由は、ついに決着がついたと思っていたお峰の話しをまた揺り戻してしまっているからです。

こういう決着が着いた話を蒸し返されるのが個人的には大嫌いなのです。

小伝馬町の牢に囚われたお峰ですが、ある晩、近くで起きた火事のため、解き放ちになります。

解き放ちは以前に別の時代劇で見たことがあり知識としては知っていました。未決囚を牢獄で焼死させないように解き放つのですが三日目までに名乗り出る義務があります。正直に戻ってくると、罪一等を免じるという豪気な処置ですが、逆に名乗り出ないと牢獄破りとみなして獄門の刑になります。

お峰の場合には、山塊坊による手引きですから、もちろん戻ってきたりはしません。

さて、その山塊坊ですが、お峰まで捕まってしまい、後ろ盾の上野寛永寺からも見放されて、いよいよ八巻への恨みが募り募って、三人の刺客を雇って八巻暗殺を託します。

肺病を病んでいるものの腕前は確かな浪人、浜田。

天涯孤独の身の上ながら独学で磨いた殺しの技は天下一品の佐吉。

商人に変装して八巻に接近する吉兵衛。

最初に浜田が正面から戦いを挑みますが肺病で瀕死と蘭学医療の心得のある八巻に見破られ、決定的な場面で吐血して果てます。

それを見届けた吉兵衛は刀を抜くのも見せずに浜田を切り捨てたと勘違いし、さすが八巻は江戸でも屈指の剣豪と報告します。

本物の剣豪の美鈴ですが、暗殺者が卯之吉を追っているという情報のお陰で吉原遊びができなくなって家にいてくれるので、むしろ喜んでしまいます。

商人に化けて金で八巻を篭絡しにくる吉兵衛と、それを受取ろうとする影武者の由利の丞の間に割って入って、旦那様はかようなものは受け取らぬと吉兵衛の策略を妨害します。

そんなこんなで、いろいろな勘違いの連続の中、八巻の周囲のものたちは刺客三人を見事に撃退してしまいます。

そして、ついに山塊坊もお縄となり、意外にもお峰より先に舞台から消えることとなりましたとさ。

お峰ですが、失敗した佐吉を処分する役目を果たした所で袖に消えていき、その行方はまたも不明になってしまいます。