表題作です。
SFマガジン1982年12月号掲載。
当時はSFマガジンをちゃんと全部読んでいました。
巻末だったかと思いますが、ちょっと読みにくかった記憶があります。
搭乗員は入れ替わっていて、観測員の大崎一曹が視点人物です。他にダツ三曹、チョードリ少尉。
シリウス星系で哨戒任務に当たっていると、太陽系方向から飛来する幽霊船と遭遇します。その艦名は、ご存知バシリスク。しかし、理屈からすると太陽系を離脱してから150年でシリウスまで来たことになり、観測されている速度からすれば3000年は掛かるはずなのと矛盾します。
速度を同調させて船殻に穿孔して内部調査することになります。
すると、バシリスクが太陽系離脱後にどうなったかの日記が発見されます。
艦に最後の一人となったニルス・ヘルナー中佐の日記によると、ほかの乗員は彼にリソースを残すために自発的に退去していき、彼だけが残ったのだそうです。そして、太陽系辺縁を流れる超光速流束へと接近するに連れ観測される艦速度が急激に増大していくことが記録されています。それによって同艦はシリウスへと光速を越える速度で漂流してきたのです。
画像はドイツの仮装巡洋艦トールです。