図書館です。
今年の(つまり去年発行書籍の)星雲賞海外長編部門賞です。
単なる巡りあわせですが、筆者はスコルジーを読んだことがなく初対面となりました。
グリーンランドの基地で繋がっている並行宇宙の地球に行くと、そこには巨大な怪獣が棲んでいるというお話しです。
この怪獣は我々の地球の恐竜や爬虫類とはまったく異質なもので、一種の移動する独立生態系のような存在だというのです。
p216
「要するに、もしも怪獣が環境から適切な寄生体を獲得できなければ、ある成長段階は起こらないのです」アパルナは行った。「原子炉室の場合、成長中の怪獣は、ほかのなによりもまず、内部冷却システムの役割を果たす寄生体を獲得しなければなりません。外部からとり込んだ空気を体内へ流して熱を奪うためです」
「もしも適切な寄生体が見つからなかったら?」
「その場合は怪獣にはなりません。体が大きくなりすぎてしまい、二乗三乗の法則の犠牲となって死ぬか」
この異形の生態系を丁寧に書き込んでいて、酉島伝法の「皆勤の徒」みたいと思いました。もしや、本当にそのインスパイアかと思いましたが、そもそも「皆勤の徒」って英訳されているんだろうかと調べたら、なんとされていました。
https://www.webmysteries.jp/sf/torishima1805.html
うぉー、すごい! あんなものを英語に訳したのですか。訳者の才能たるや恐るべしです。
で、スコルジーがそれを読んで本書を書いたのかどうかは何も情報がありません。うーむ‥。
星雲賞の候補作リストを眺めていて、中南米ウォーゲーマーとしては「文明交錯」は読まねばと思っています。図書館予約中。