ラヴレターを見る

 岩井監督の映画のヤツです。

 中山美穂が急死したので埃を払って家内と見ました。
 久しぶりに見ましたが、素晴らしい!

 亡くなった婚約者の住所をお母さんに見せてもらった卒アルからメモして手紙を送ったら返ってくるはずのない返事が返ってきました。
 実は彼には中学時代に同姓同名のクラスメイトがいたのです。その彼女と文通していき彼の中学時代のエピソードをいろいろ教えてもらいます。そして文通相手の謎を解くために当該住所を訪ねて行くと、そこにいたのは自分とそっくりな同年齢の女性。

 彼女を見て、「彼に一目ぼれだと言われたが、実は彼が好きだったのは彼女で、彼女に似ていたから一目ぼれされたのでは」と悟ります。
 彼女はさらなる彼のエピソードを求めて母校を訪ねて二人が図書委員を務めていた図書室に行くと、現在の図書委員の後輩たちが彼女の名前を聞いて歓声を上げます。多くの本の最初の貸出人として名前が残っていたからです。そんな誰も読まない本をたくさん借りて、彼女に彼の名前を書かせていたのは、やはり好きだったから?
 彼女は風邪をこじらせて肺炎で病院に担ぎ込まれますが、無事に帰宅したら図書委員の後輩たちが彼女に贈り物を持ってきます。一枚の貸出カードの裏に書かれた中学当時の彼女の肖像です。その愛情のこもったタッチに、改めて彼が好きだったのは私だったのだと確信します。

 彼女は主人公にこのエピソードも教えるために筆を取りますが、最後に「やっぱり恥ずかしいので、この手紙は出しません」と書いて出すのを止めてしまいます。
 筆者も中学時代に図書委員だったので、本作はいろいろな所で琴線に触れて非常に感慨深く見られました。中山美穂一人二役も非常に上手く演じていて、傑作映画だと思います。後に「ラストレター」が作られるとは思っても見なかったのですが、あちらもすれ違うラブレターの話しで、メランコリックなノスタルジーに満ちていました。
 また、折りを見て再見しなければと思いつつ、DVD棚にしまいました。
 今回の発見として、彼女(藤井♀)が母校を訪ねて出会う当時からいた先生が、夢千代日記の小夢ちゃんを演じた中村久美だというのがありました。昔、見たときには全然気づかなかったです。