図書館です。
久々の東野圭吾。本書が書店でハードカバーで平積みになっていたのは、つい最近だと思っていましたが奥付を見ると2020年のことだそうです。コロナが大騒ぎになり始めた頃のことですね。まだ安部総理の時代ですか。
いつものようにとてもイイ話しなのですが、狭義のミステリーではありません。
殺人事件はおろか、事件性のあることは基本的に起こりません。
主人公は不当解雇にあって、退職金代わりに会社の資産を窃盗します。で、逮捕されて(そうか、此処は事件性ありますね)しまいますが、ほとんど会ったことのない叔母さんに頼みを聞いてくれれば弁護士に頼んで無罪にしてあげると言われて受けます。
その頼みが、「クスノキの番人」を引き受けることです。
しかし、この仕事の事務的な手順は教えてもらいますが、その本当の意味は教えてもらえません。そこで、クスノキに祈念しに来る人の傾向分析から始めて、クスノキの本当の意味を探り始めるというミステリー(謎解き)です。
最終的にはクスノキには、人の念を記録し、また再生して別の人に引き渡す能力があるというお話しなのですが、これを利用して横死した兄の念を受け取ろうとする弟と、その一家の話しが、なかなかイイ話しです。それを前述の謎解きに上手く絡めて480ページの大冊に緊密に纏めています。
完全な独立長編と思われる作りなのですが、今春、まさかの続編「クスノキの女神」が出版されました。図書館では8か月待ちなので、いますぐ予約しても回ってくるのは来年の夏。うーん。