ダンケルクを見る

 WOWOWです。
 ご存知、ノーラン監督作品。
 最初に30分くらいまで見て、全然なにが起きているか把握できず寝落ち。
 翌日、ウィキペディアで予習して再挑戦して、無事に最後まで見ました。
「終りまで辿り着くと、まぁまぁちゃんとしたダンケルク映画だ」という評価になりました。 陸・海・空の3つのエピソードを個別にズタズタに切っておいて、前後転置にならない範囲でどんどんカットバックして入れ替えて映していくというノーラン節。「テネット」のようなものなら適切な手法だと思いますが、WW2の戦争映画でこんなことをする必要あるの?と大いに疑問。
 ダンケルクの史実を知らないで見る人には異常なまでに不親切な作りです。
 それでも、ダンケルク撤退の醜い部分に目を背けずに映画にしてある所はさすがと思いました。

 主人公たちが海岸に辿り着いて船を待つ行列に並ぶと、「ここは近衛連隊の列だ」と一般兵はあっちへ行けと言わんばかりに冷たくされます。
 最後の船だというので、なんとしても乗るために優先乗船が認められる傷病兵の担架を見つけて運び込んで、そのまま乗船してしまいますが、出航後に同じ隊の人間でないとバレて、「降りろ」と追い出されます。
 行列の中にいたフランス兵を、「乗せるのはイギリス兵だけだ」と排除するシーンも。しかし、フランス兵も此処へ置いて行かれては死ぬだけですから、浜辺に倒れているイギリス兵の死体からイギリス軍服を剥ぎ取って着替えて乗船します。
 しかし、乗船後に何もしゃべらないので、「ドイツのスパイだろう、喋るとドイツ訛りが出るからだろう」と言われ、止む無くフランス語を話したら、やはり追い出されます。

 民間船徴集でダンケルクに向かうボートで海上の難破船に一人残っていたキリアン(オッペンハイマー)を救助したのですが、キリアンがダンケルクに戻ることは承知しない、このままイギリスへ迎えと言われて一悶着。キリアンが突き飛ばしたことで船倉に転落したジョージは打ち所が悪くて亡くなってしまいます。

 退避船を攻撃するハインケルを迎撃するスピットファイア編隊ですが、隊長機がメッサーに撃ち落され(画面上は行方不明)、コリンズ機はガス欠でダンケルク海岸に不時着、機密を守るため自分の手で愛機に火をかけて燃やします。
 そんな殺伐とした脱出劇ですが、それでも計画を大きく上回る脱出者を英国に運ぶことに成功し、チャーチルが成功談話を発表すると、英国に着いた兵士たちは英雄として歓迎されることになります。ここでちょっと救われたところで終劇。
 もう一回見るかと言われると、もういいかなという感じですが、出来栄えは合格点には届いていると思います。