加賀恭一郎シリーズ、その2です。図書館。
うーん、「卒業」に続いて読後感の良くない本です。
バレエ団の事務所に侵入した不審者と遭遇してしまったバレリーナ葉瑠子が花瓶で頭部を殴打して殺してしまいます。正当防衛を主張するのですが、そもそも不審者はなんで金目のものがない事務所に侵入したのか?
不審者とバレエ団の接点は、2年前のNY滞在中にあるのではないかという推察から現地捜査を依頼します。
しかし、事態に進展が見られない内に、舞台稽古中に劇団の主要人物である演出家が上着に仕込んだ毒針で殺害されるという第2の事件が発生します。
捜査一課の加賀は、この二つの事件が独立してたまたま近い時期に起きたとは思えず二つの事件の接点を探し始めます。その中で若手のバレリーナ美緒に惹かれていきます。
しかし、NYの現地捜査でも有力な接点は見つかりません。
美緒の舞台での相手役、柳生は、当時の演出家のNY以外の訪問先になにかないかを調べ始めますが、そのタイミングで柳生は毒を盛られて殺されかかります。
かくして、正当防衛、毒殺、毒殺未遂と相次いで起こったバレエ団での事件は複雑な様相を呈していきます。
と言う連続殺人事件(いわゆる連続殺人ではありませんが)を解くために加賀は劇団の人間関係の機微に踏み込んでいきます。
最終的には、最初の侵入者と劇団との接点は、4年前のNYにあることが判り、侵入者の目当ては劇団のバレリーナの一人をNYに連れ戻すことであったことが推断されます。
本作が非常に判りにくいのは、このバレリーナが葉瑠子でも、美緒でもないことです。
そして、2年前でなく4年前の話しが唐突に出てくる(もちろん伏線はあるのですが)感じもあって、なんとなく「これは反則だよなぁ」と感じてしまうことが印象悪いです。
また、真犯人が加賀視点で見て、いちばん犯人であって欲しくない人であることも加賀の心理描写を重苦しくしており、最後の部分は割と読んでいて辛かったです。
もう一度、読むことはないだろうなぁという評価です。