今月の千葉会は、ジャック・グリーン氏追悼企画。氏がデータ監修した「アイアンクラッド拡張キット」です。
カデーの定番だった、「ワスカルの冒険」から第2章、第一次イキケ湾海戦です。
筆者は希望して主役のペルーの砲塔装備フリゲート、ワスカル側です。手前の2隻、ワスカルとインデペンデンシア。
ディールスさんが、奥のイキケ湾から出動してきたチリのエスメラルダと、コヴァドンガ。
海のシナリオではあるのですが、アクティブな浅瀬が非常に多く、黄色や緑のダイスが置かれているのがそれらです。浅瀬は照準線障害物であり、砲撃を妨害します。と同時に、浅瀬に侵入した船は座礁チェックをしなければなりません。
そこで、湾口から出撃するチリ軍は、湾口を塞ぐような位置にある浅瀬を回避してジグザグに操船して出てきています。
話しが前後しますが勝利条件を見ておきましょう。
ペルー海軍は、チリ艦を1隻撃沈すれば辛勝、2隻とも撃沈すれば完勝です。
チリ海軍は、2隻ともを盤面の北端、画像の右下方面へ、突破させれば辛勝です。
両軍ともに敵影に向けて前進しましたが、ちょうど中央付近に浅瀬Gが存在しており、チリ海軍は浅瀬Gの西側(画像の右)を北進してきます。
チリ海軍の先頭艦エスメラルダは浅瀬Gの西側を通ってしまい擦れ違いつつあります。
先頭艦であるワスカルは浅瀬の東側を通り過ぎてから右旋回してエスメラルダを後方から砲撃しようと目論みます。
チリの後続艦コヴァドンガは速度劣位であり、エスメラルダより遅れて、止むを得ず浅瀬Gの東側を通過することとなり、ペルーの後続艦インデペンデンシアと側面対側面で砲火を交えることになりました。
インデペンデンシアには、砲塔や主砲はないのですが、舷側にずらりと70ポンド砲を6門ならべており、片舷斉射の威力はワスカル以上でした。
しかも、この日はどうしたものかペルー軍の砲撃は命中すると、ことごとくコヴァドンガの甲板に吸い込まれていきました。甲板命中は命中表1で6を出した時にしか発生しないのですが、この日は次から次に緑ダイスの6が出たのです。
コヴァドンガは改修で舷側の特に水面下の装甲板を強化してあり、そこであれば装甲値が15もあるのですが、甲板は4しかありません。命中2発で甲板装甲板は撃ち抜かれ、後は無装甲状態となります。
木造部位や、装甲がなくなった場所に命中すると、貫通命中となり、通常の命中損傷判定とは別に貫通命中表を受けることになります。また、通常の損傷の相場は、装甲ヒット2、ハルヒット(内部構造)2くらいなのですが、装甲がなくなると装甲ヒットもハルヒットになります。なので、貫通命中表も加えると、通常の相場の3倍くらいの勢いでハルヒットを受けるようになり、あれよあれよという間に船体構造がガタガタになってしまいました。
また、甲板命中に特徴的なこととして、乗員損害が多めに発生することがあります。これは後述します。
ワスカルはエスメラルダを追っていましたが、優速なエスメラルダを捕まえることはできないため、思い切って浅瀬Gを突っ切って航行しました。これで2ヘクスくらい差を詰めたのですが、速度差で離れていくので、追跡を断念しました。
ワスカルは狭い浅瀬間で反転回頭し、コヴァドンガを挟み撃ちにする方針に転じました。
インデペンデンシアは、片舷斉射の威力に酔ってしまい、どうやってコヴァドンガを側面射界に捉えるかに腐心します。前方射界に収めるのと違って、最後の回頭の運次第のようなものなのですが、たまたまですが上手く行き、さらにコヴァドンガにダメージを与え、累積ハルダメージによる最高速度低下に追い込みます。
ここまで来れば一気に沈める好機と見て、最短距離でコヴァドンガに接近するべく、インデペンデンシアも浅瀬Gを突っ切るプロットを実行します。ワスカルが成功したので、気が大きくなってしまいました。
画像の通り、浅瀬Gの手前に伸びた白線の上にインデペンデンシアが座礁。
座礁停船して動かなくなった同艦に対して、移動力を残しているコヴァドンガが突入してきて、まさかのラム攻撃です。
CADET時代からアイアンクラッドを何度もやっていますが、ラム攻撃が成立するのを初めて見ました。プレイ前も、ラム攻撃の練習はしなくて良いのですか?(史実ではワスカルはラム攻撃でエスメラルダを沈めているため)と聞かれて、筆者は「相手が目の前で座礁停船とかしてくれないと、まず決まりませんよ」と言っていたのですが、なんのことはない自分が座礁してラミングされてしまいました(失笑)。
と言うことでコヴァドンガはインデペンデンシアにラミングして衝突停船。
結果として、ゼロ距離でインデペンデンシアはコヴァドンガに一斉斉射することとなり、その結果、コヴァドンガは半壊状態となりました。
この時に、ディールスさんから、コヴァドンガの死傷者が多く、乗員が20人強しか残っていないので、乗員50人を擁するインデペンデンシアから乗船戦闘を仕掛ければ制圧できるのではないですか? との疑問が提起されました。
実はその通りなのですが、ラミングでさえ成立するのを見かけたことがないので、同一ヘクスで拿捕してボーディングアクションするという拡張キットのルールを訳しておらず、この日は採用しないことでゲームをスタートしたので、それはなしとしました。
次のターンにコヴァドンガは反転離脱して逃走を再開しました。
しかし、停止状態から加速しても速度はすぐには上がらないので逃げ切れません。後方からインデペンデンシアに最後の斉射を受けて、まさかの全ハル(48ヒット)喪失で、完全粉砕されて海の藻屑となって消えました。カタストロフィックな沈没なので、残骸マーカーすら残りません。
かくて史実(ワスカルがエスメラルダをラミングで沈没)とは違う形となりましたが、ペルー側が1隻を沈没させて辛勝ということになり終了しました。
10時頃に開始して、昼食を挟んで15時くらいに完全終了したので、正味のプレイ時間は4時間ほどだったかと思います。
ボーディングアクションのルールも訳に追加しておかなくてはと反省して終りました。