少し間が空きました。実際は途中で、「カーリング:極寒の町に熱狂を」を観たのですが、日記に書きませんでした。

さて、ロケットを飛ばす話しです(←雑)。
国産H2ロケットの後継であるH3ですが、JAXAの岡田Pjリーダーは、少し背伸びする目標として、「ペイロードを大きく(1.5倍)」「コストを安く(半分)」「発射頻度を高く」というのを掲げました。衛星の大型化で最初の目標は必須。多くの国がロケットを上げる時代になって二番目も大事、そして三番目も。三番目には、自分たちの経験値アップにも繋がるというメリットも。
ペイロードを大きくするために新型の大型エンジンが必須。このエンジン開発が難航します。一年かけて準備した実射実験がコケてしまい、衝撃を受けます。その原因が判らず身内の三菱重工だけでなく、ライヴァルのIHIにターボポンプの振動解析を依頼します。
この解析結果に主要スタッフは衝撃を受けます。見たこともないモードの振動が発生しているというのです。振動モードは面内振動、面振動など主要な3種類に分類されますが、それらとは異質な地震の粗密波みたいな振動がブレードの長手方向を渡るように発生しているというのです。通常は考えられない高温、非常に高い回転速度で初めて発生してくる見たことのない種類の振動。これをどうやって抑制するのか。対策はもぐら叩き状態となり、あるモードの振動を抑えると、別のモードの振動が悪化するなど、出口が見えなくなってきます。
さらに数値シミュレーションだけでは、確信を持てないので最後は実射テストに再挑戦する。けれども、実射テストを1回準備するのには期間も予算も掛かります。期間が問題となり、止む無く、複数の対策案を同時に発射準備するという仕儀に至ります。お金も大変ですが、この二つの案が両方ともコケたら前途は真っ暗です。
しかし、案に相違してマイナーチェンジ案が予想以上に上手く行って第一段ロケット燃焼実験に成功し、スケジュールは再び動き出します。
そして、発射当日、誰もが心配する第一段エンジンは無事に点火し燃焼を完了します。やった!と抱き合わんとするスタッフに驚愕の知らせが、H2で実績があり心配していなかった第2段ロケットが点火しなかったのです。このまま地上に落下させる訳には行かないので、無念の自爆指令信号を送ります。
自爆するまでの短時間で集められるだけのデータを集め、直ちに巨大なFTAで想定原因をリストアップして原因解析を始めます。
息子から父への「パパ、テストに合格できなくて残念だったね」のメッセージも心に響きます。
そこから一年後、再び打ち上げを迎え、今度こそは一段、二段とロケットが順調に点火し、最後のペイロードの軌道放出まで完了し、一年前の雪辱を果たします。
アポロが月に人を送り込んだ時に、その小さな努力の膨大な積み上げによる成果であることを評して、エジプトのピラミッドを造る作業にも似た成果だと評した専門誌がありましたが、H3も同じなのですね。
最後に有馬キャスターが、もう一度、何も判っていない段階に戻ってやり直せと言われたらできますか? と尋ねると、JAXAの岡田リーダーは「もうあかんですわ」と言い、三菱重工の田村さんは「楽しかったですよ。僕は二人とは違ってもう一回やってもいいですわ」と言われたのが印象的でした。
これはプロジェクトリーダーと、個別作業の責任者の立場の違いなのですかね。