奥付を見たら、1994年。今回初読です。
ですので、31年間も本棚で寝かせてありました。熟成品(苦笑)。
ロボット長編三部作の最後になります。
主役は、今回もイライジャ・ベイリ。冒頭では、息子と一緒に広場恐怖症を克服すべく畑仕事をしています。やがて、銀河帝国へ向けて新世界開拓に出発するためです。
しかし、その前に、またしてもスペーサーからベイリご指名で事件の捜査依頼がやってきます。その後の展開はいつも通りです。
三部作に共通して言えることですが、ロボット工学三原則まわりのロジックパズルみたいなのがミステリーのトリックと推理の焦点になります。今回は、それに加えてラヴストーリーも絡めてあるのですが、残念ながらアシモフ先生の恋物語の書きぶりは非常にぎこちなくて、ちょっとどうかと思いました。
また、今回は一旦、事件が解決した後に、本当の真相が議論されるエピローグ的な部分があります。このエピローグで、ロボットものとファウンデーションの連結に関して、かなりのネタばらしがあって、こんなことしちゃってたら「ロボットと帝国」は興醒めなんじゃないのと思いますが、むしろ前宣伝として意図的にやっているんでしょうかね。
ミステリーとしてはイマイチです。真犯人が読者の前に登場するのが遅すぎるし、出てくるときには「オレが犯人だ」フラグを思いきり背負っているし‥。
ただ、その裏に、本当の真相があるので、読者はアッと言わされますが。
「はだかの太陽」の時も思いましたが、中学時代の追憶に包まれている「鋼鉄都市」と比較すると、いずれも予想以上に生硬な書きぶりで、少なからずガッカリさせられました。もう再読することはないですかね。鋼鉄都市だけ残して、二作目、三作目は処分してもいいかなと思ったり。