アシモフのトランターものの一作。購入当時に複数回読んだはずですが、今回読むのは30年ぶりくらいでしょうか。

1949年の仕立て屋のおじさんであるシュワーツが近未来に突如としてタイムスリップしてしまい、そこで銀河帝国の地球に対する偏見と差別に対峙して戦うというお話しです。
突如としてタイムスリップしたので言葉がまったく通じないため知的障碍者とみなされ、知能向上プロセスの被験者にされてしまうのですが、これの効果が出て言語も瞬く間に習得し、さらにテレパシーの超能力まで得てしまいます。
感じとしては、AEヴァンヴォクトの長編に近いです。キース・ローマーにも近いでしょうか。リーダビリティは快適ですが、ローマーあたりと比較すると読みにくいです。
ファウンデーションシリーズや、ロボットシリーズを読む上では、特に読む必要のない独立長編ですが、逆にアシモフの独立長編で若い頃の作品は数が少ないので、その意味では貴重です。改めて読むと、アシモフがヴォクトと同時代のライターであり、作風も近いものがあったことに驚きます。
地球が人類発祥の地であることに誇りを持ち、帝国の差別と偏見に戦うべく細菌戦争をしかけようとする古代教団の描写に、オウム真理教を彷彿とさせられます。