トランターノベルの2冊目です。

率直に言って、「宇宙の小石」よりもかなり落ちます。
まず主人公が地球に留学している、ある植民惑星の領主の息子という時点でイマイチです。なので、彼がいろいろなリソースにアクセスできるのですが、そのことは冒険譚としては面白くない方に働いています。彼を狙っている悪役ですが、これが同じようにどこぞの植民惑星のボンボンだと言うのも、かなりイマイチな感じです。
最後に、銀河帝国を目指すトランターのための秘密兵器として合衆国憲法が唐突に出て来て終るのですが、これが輪を掛けてダメな感じです。このアイデアはアシモフではなく、当時の担当編集者のアイデアなの だそうで、アシモフも気に入っていなかったそうです。
そんな訳で、アシモフが本書を不出来の作品としてなかったことにしたがっていたのは、無理もない感じです。
p10
しかしこれは昔の話である。原子戦争は地球をさんざん痛めつけてしまった。地球の大半はひどい放射能で、利用不能になったままである。これ以上破壊しようもないというのに、まだ建築方式には過去の恐怖が反映されているのだ。
p56
サイモック・アラスタップは小男だった。ちょっとワニ足で目は細い。一般の帝国人なみに、、ずんぐりした、手足の太い印象を与えるが、今こうして目の前に属国から来た筋骨隆々の大男がつっ立っていても、およそ落ち着きはらったものである。彼の父は風ばかり吹いて地味の悪い、故郷の国々を後にして宇宙に飛び出し、星雲諸国の豊かな諸世界を占領し、鎖につないでしまった連中の一人なのであり、彼はいわば二代目なのだった。
p102
「考えてみたまえ。恒星間飛行の発見以来、全銀河系はつねに拡大発展の状態にあるのですよ。つまり、われわれのはつねに育ちゆく社会、したがって未熟な社会ということになる。人類社会が成熟に達したとすれば、それは歴史のたった一つの時期に、たった一つの地点で起こったにすぎない-すなわち破局直前の地球の社会がそれです。この社会は一時的にではあるが、地理的に発展の可能性を完全に失ってしまい、人口過剰、資源欠乏等々の問題に直面せざるをえなかった。銀河系の残りの部分では、こういう問題に対処する機会など一度もなかったのです」
p206
「どうやって見つけるつもりだ?」バイロンが食い下がった。
「それほどむずかしいことじゃあるまい。もしぼくらが聞いた話が本当だとするなら、帝国に反抗を企てている星があるに違いない。そしてこの星は、星雲地区のどこかにあり、帝国はここ二十年のあいだ、この星を発見できずにいる。こんなことが実際に可能な場所というと、星雲地区にはただの一か所しかない。暗黒星雲の内側だよ」
「しかし、ぼくはギルブレット卿に会うことができた。これはきみも卿から聞いてるだろう。そこでぼくは地球に出かけた。地球は人類の故郷だからだ。本来、銀河系の調査に出かけた探検隊の大部分は、地球から出発している。で、調査記録の大半も地球にあるのだ。馬頭星雲は徹底的に調査されている。少なくとも、その中を通過したことは、何度もあったようだ。だがこの星雲内に植民が行われたことはない。天体観測ができない宇宙空間を飛行するのは、きわめて困難だからだ。だがぼくにとっては、調査が行われたということだけで充分だった」