第二ファウンデーションを読む

 30年ぶりくらいに読みましたが、前の巻ともども記憶にあったより読みやすくて好感を持ちました。

 本作では、ミュールですら見つけることも倒すこともできなかった第2ファウンデーションを探す物語です。

 前半はミュールによる失敗した探索。

 そして、後半は第一ファウンデーションによる探索です。

 改めて読んでみて、そうか第2ファウンデーションはミュールに干渉したのかと初めて気付きました。こんな大事なことに30年以上も気付かづに読んだつもりになっていたとは‥。

p96

 ブリッチャーは原子銃を半インチ引っ込めた。「何をいいたいのだ?」

「あんたは干渉を受けているってことさ。操作されているんだよ。おたくはミュールがあのハイパートレイサーを挿入するのを見なかった。だれが挿入するのも見なかった。ただ、あれをあそこで見付けた。そして、ミュールの仕業だと想像し、それ以来かれがわれわれを尾行していると思っていた。」

p116

「きみ一人か」かれはいった。

 すると第一発言者が認めた。「わたし一人だ。一人である必要があるのだ。なぜなら、五年前にきみの将来について計算を誤ったのは、わたしだからだ。それを他人の助けを受けずに訂正できれば、一種の満足が得られるだろう。不幸にして、ここを包囲しているきみの感情反発フィールドの強さを、勘定に入れていなかった。それで、侵入に時間がかかってしまった。これを構築したきみの技量には敬意を表する」

「礼はいわない」敵意ある返事が戻った。「わたしにつべこべ世辞をいう必要はない。あちらのきみの王国の壊れた柱に、きみの頭脳の破片を加えるためにやってきたのか?」

 第一発言者はにっこり笑った。「どうやら、きみがベイル・チャニスと呼ぶ男は、立派に任務を果たしたようだね。かれは精神作用力において、はるかにきみに劣っていたことを考えればなおさらだ。もちろん、きみがかれをひどくいためつけたことは、わたしにもわかる。しかし、まだ完全に回復させることができるかもしれない。かれは勇敢な男ですぞ。かれはこの任務に志願した。精神が破壊される可能性がきわめて高いことは数学的に予言できたのに-たんに肉体的不具になるよりも、もっと恐ろしい結果が予想されたのに」

p124

 ミュールは立ち上がった。「ロッセムも第二ファウンデーションではないというのか?」

 床に倒れていたチャニスは、第一発言者の精神作用力の奔流を受けて、束縛が永久に解けたことを感じ、しゃんと立ち上がった。そして、信じられない様子で、一息に叫んだ。「ロッセムは第二ファウンデーションではないとおっしゃるのですか?」

 第一発言者は微笑した。「ほらごらん、第一市民、チャニスはきみと同じように面食らっている。もちろん、ロッセムは第二ファウンデーションではない。われわれは、きみというもっとも偉大な、もっとも強力な、もっとも危険な敵を、自分自身の世界に導き入れるような狂人かね? とんでもない!」

p143

 政治的状況が今ほど好都合になっていることは、いまだかつてないのですから。旧帝国は完全に死に絶え、そしてミュール支配の時代は、それに先立つ将軍たちの時代に終止符を打ちました。銀河系のそれを囲む部分の多くは文明化され、平和になっています。

p164

 えーと‥、えーと-」

 かれは見上げた。「あそこだ!」

 壁全体がかれの上に渦を巻いてかぶさってくるようだった。

「これが」かれはいった。「わたしのものだ」一本の細い赤線が分岐した二本の矢を取り囲み、それぞれの道筋に沿って六平方フィートの推論を包含していた。二つの間には一連の方程式が赤で書かれてあった。

「たいしたものには」第一発言者はいった。「見えない。これはプランの中の、すでに経過したのと同じくらいの時間が経過しなければ、到達しない時点に関するものだ。つまり合体の時期だ。その時期には、形成される第二帝国は二人のライバル的人間の手につかまれる。もしその闘争があまりにも互角だと、それは引き裂かれる恐れがある。また闘争があまり偏った場合には、それは万力にはさまれたようになり、融通がきかなくなる。両方の可能性がここで考慮され、追跡され、どちらも避ける方法が示されている。

p171

 当然ながら、このことはだれにも話してはならない」

 学生は愕然とした様子で沈黙し、この事実を飲みこんだ。それからいった。「では、【セルダンプラン】は失敗したのですね!」

「いや、まだだ。失敗したかもしれないというだけのことだ。成功の確率は、最新の評価によれば、まだ21.4%もある」

p192

 数式を使わずに説明するのは難しいです。とにかく、その結果、ファウンデーションの努力が弱められるだけでなく、その一部はわれわれに背くことに、それも能動的に背くことに、なります」

「それだけかね?」

「確率はかなり低いですが、もうひとつ別の要素が残っています-」

「たいへんよろしい。それは何かね?」

「第一ファウンデーションのエネルギーが帝国の方にだけ向けられている間は、そして、彼らの敵が、荒廃した過去からの遺物である図体ばかり大きな時代遅れの物だけである間は、かれらは明らかに物理化学だけに専念していました。しかし、われわれがかれらの環境の新しい大きな部分を形成するようになると、当然、かれらの視界に変化が生じます。かれらは心理学者になろうとするかもしれません-」

「その変化は」第一発言者は冷たくいった。「実際に、すでに起こっている」