図書館です。
大富豪同心が終わったので、いろいろな懸案に手をつけています。
ドラマ版は、NHKの永作の時も、フジテレビの檀れいの時もしっかりと見ました。当時の心証が良かったので、いずれ原作をと思っていましたが、ようやく実現。
フジの連ドラは、脚本がしんみりさせるものが多くて、特に高く評価しています。DVDボックスを買うほどではないけれども、レンタルがあれば今一度みたいドラマです。
今回、原作を読むと人物造形的には、永作の福家の方が原作イメージに忠実なのですね。
さて、本書を読むと、作者と解説者が、大変な「刑事コロンボ」マニアであることが判ります。そういわれて読むと、確かに非常にコロンボに寄せて書いてあるなと思います。
本書には、4編が収録されていますが、うち3編は連ドラ版で取り上げられています。
「最後の一冊」は、私財を投げうって図書館を開いた前館長の思いを継いだ現館長が、図書館を潰そうとするバカ息子を殺す話しです。
犯人は転倒した本棚に被害者が押しつぶされた事故死を装いますが、なんと福家はこの本棚に入っていた本をもう一度本棚にパッキングすると綺麗に入らないということを物証として持ち出します。本の入れ方をどれだけ試したのかと思うと気が遠くなります。
「オッカムの剃刀」は、NHK単発と連ドラの双方で映像化されました。
科警研OBの大学教師による犯行を暴きに掛かりますが、敵は警察の手の内を良く知っているのでかなり苦戦します。NHKが最初の映像化でコレを選んだのは、なるほどと思わされます。その時の教師は草刈正雄でした。連ドラ版では、古谷一行。

「愛情のシナリオ」は、役を争うライバル関係にある二人の女優の間の殺人事件です。連ドラでは、観行院、若村麻由美さんが犯人でした。そのライヴァルに黒沢あすか。

「月の雫」は、日本酒酒造会社の確執をめぐって、規模は小さいが味の良い酒を造る谷元酒造の社長が、規模は大きいが不味い酒しか造れない佐藤酒造の乗っ取りを防ぐために殺す話しです。集中では個人的には一番好きです。
連ドラでは、谷元社長は片平なぎさ、佐藤社長は「風と雲と虹と」に出演していた清水綋治です。清水綋治と言ってもわからない人も多いでしょうが、顔を見れば、「ああ、見たことが‥」と思われるのではないでしょうか。

p33
「実はもう一点、判らないことが」
「あなた、あと一つだけって、さっき言ったでしょう」
「鍵のことなんです」
p81
「犯人を逮捕したら、飲みに来ます」
「さすがは刑事さんだ。なるべく早く逮捕してくださいよ」
「それは大丈夫。犯人の目星はついているの」
このエピソードに限らず、福家は第三者に「犯人はだいたいわかっている」という発言をしばしばしています。現場の初動捜査の段階で殺人であること、そして犯人が誰であるかを推断していて、その推断に基づいて犯人にしつこくまとわりつくというパターンです。まさに刑事コロンボです。