航空宇宙軍史の第一部が終わってから第二部が始まるまでの飢餓期間に古書店で買い集めたものです。

谷甲州だし、宇宙が舞台だし、物理学的にガチガチな書き方をしています。
となると、ハードSFかと思いますが、さにあらず。
あとがきから引用します。
ほんのちょっと前までは、宇宙空間を舞台にした小説はそれだけでSFだった。もしも描かれた時代が21世紀なら、それだけでもSFになった。ところでこの小説の舞台になっているのは地球周回軌道上の宇宙空間で、時代は2005~2010年くらいと考えている。それにもかかわらず、この小説はSFではない-と思う。
理由はいろいろと考えられる。第一に、登場する技術やメカは、現在も使われているか計画中のものばかりだ。なかには架空の技術もまじっているが、それにしても可能性自体はすでに提案されている。次に、宇宙空間といっても、未知なるものはなにも登場しない。さらに、ヒーローやヒロインは登場しない。宇宙で勤務する技術者と言えども単なる公務員で、決してエリートや英雄ではない。
具体的にどういう話しかは、帯から引用しましょう。
日本の海洋観測衛星の修理を担うスペースシャトルが打ち上げ直後に炎上。それを支援する衛星基地「フリーダム2」でも居住モジュールの爆発が‥。
シャトル損傷の原因究明に燃える機長のハスミ大佐は、愛機が何者かに狙撃されたことに気付く。一方、フリーダム2の研究員、秋山は、観測衛星の実態が極秘配備の軍事衛星で、その原子炉が暴走寸前であることを知った。
と言うように、今では現実にあるスペースシャトルと軌道基地での同時多発サボタージュに巻き込まれた主人公たちが極めて現実的な抵抗を試みるお話しです。
映画「グラビティ」に一番タッチが近い感じです。
なので、航空宇宙軍史ほどに華々しくはなく、割と足が地に着いた感じで最後まで進んで行きます。人間ドラマとしても、航空宇宙軍史の時ほどに透徹した非情のドラマは展開されません。前述のあとがきにあるように、みなさん公務員のマインドなのです。