○トップの素顔論(谷垣禎一編)を読む

bqsfgame2015-04-01

先日の茨城会で、珍しく政治の話しになり、筆者は谷垣禎一支持ですという話しをしました。
で、改めて谷垣氏の人物を勉強する意味で、地元の図書館で借りて読みました。文化放送で番組をやっている女性作家の幸田真音さんによる著名人インタビュー集です。谷垣氏は自民党総裁になったこともあってトップで登場します。
インタビューのタイミングは第一次安倍政権誕生後数カ月。谷垣氏はポスト小泉の自民党総裁選挙に出馬し、安倍、麻生の両氏に敗れ最下位ながらも、3桁得票で存在感を示しました。しかし、第一次安倍政権では、この選挙で対立したためか冷遇され谷垣派は入閣ゼロと完全に非主流に置かれました。谷垣氏本人も無役になった時期です。
興味のある方は本文を是非とも読んでいただきたいと思いますが、谷垣氏は元々は法学部卒の弁護士で、経済政策に強いタイプではありませんでした。しかし、小泉政権下で3年間に渡って財務大臣を務め上げ、財務側の視点で経済政策を語るようになりました。
安倍総理アベノミクスで知られる上げ潮派ですが、総裁選では対立軸を作る意味でも谷垣氏は財政規律重視の政策を打ち出しました。その中には増税も含まれており、このことが自民党内の谷垣離れを促したように思われます。
ただ、本書を読むと、谷垣氏の財政規律重視の意見は、非常に常識的で良心的であることが判ります。上げ潮派を「出世して美味いものを食わせてやるからな」と言うお父さんに例え、それに対してお母さんは反対しないけれども、思惑通りに出世できなかった時に備えて節約はちゃんとしておかなければならないという立場。と自身の立ち位置を説明します。谷垣氏は、経済政策はグローバル経済の時代にあっては、自分の国の施策だけで独立してコントロールできず、良い政策を実行しても外因で下振れするリスクがあるとの冷静な指摘もしています。ここら辺は、改めてその通りだなと思います。
それにしても谷垣氏の自民党内での不遇振りは続いており、一旦は合併した中宏池会でも古賀誠は谷垣氏の総裁選活動に否定的なアクションに終始し、中宏池会は再び分裂しました。
また、野党時代の総裁を無難に務め上げたにも関わらず、与党復帰が視野に入った総裁選で再出馬すらできない状態に追い込まれました。
冷静に考えてみて、ポスト小泉の総裁選挙での存在感、野党時代の総裁としての実績などから考えて、現状は不遇と言わざるを得ません。結果的に党幹事長の要職に就きましたが、元総裁であることを考えれば十分な処遇とは言えません。そもそもポストが回ってきた理由は、「安倍総理がライヴァル最有力の石破茂を総選挙大勝利の主役から外したかったから」ではないかと思われるので、谷垣氏の実力を買ってと言うことではないように思います。
そんな逆風下を進んできた谷垣氏ですが、ともあれ政権復帰を達成した総選挙の責任者と言うことになり、次のステップが楽しみな状況を迎えました。現在の自民党の政治家の中で期待できる数少ない人物として、できることなら早めに登板して欲しい所です。