〇多元宇宙SOSを読む

 キース・ローマーの3冊目です。

 「多元宇宙の帝国」の続編。今回は続けて読む並びになったので、両者の世界設定、主人公の共通性が良く判りました。

 今回は荒廃した並行世界地域に未知の生存世界があって、そこが侵略してくる話しです。その世界では我々新人(ホモサピエンス)ではなく、旧人ネアンデルタール)がそのまま文明を築き上げてネット間航行技術を作り出したらしいのです。そして、彼らは無毛の新人種を彼らの世界で敵視して滅ぼしており、並行世界で発見した新人が反映している世界を攻撃してきたと言うのです。

 旧人の世界に拉致された妻を救うために単身敵地に突入し、そこで味方になってくれる旧人ドゾクと出会います。なんか「猿の惑星」みたいです。

 例によって八面六臂の活躍で敵地で自分で並行世界移動機を組み立てたり、友人ドゾクに支給してもらった移動スーツを使ってみたりして世界間を往来して活躍します。

 終盤では移動機によって横方向(並行世界間)だけでなく垂直方向(時間軸)を移動して敵を出し抜きます。結果として敵は主人公の世界の大過去へと送り込まれることになり、彼らは主人公の世界の旧人ネアンデルタール)となったのではないかという推論で終ります。

 うーむ、強引な‥。

 エンターテイメントとして面白いのですが、最後に進化のミッシングリンクに繋ぐのはちょっと無理筋ではないかと言う気がします。SFらしくしたかったのでしょうか?

千葉会:チャコ戦争を対戦プレイする

 実現しましたチャコ戦争。

 相手はバトルオブブリテンラテンアメリカテーマの盟友、WILANDORさんです。

 第1ターンからボリビア軍(WILANDOR)が強制攻撃を引いてしまい、無理筋でボケロン南方を攻撃してきます。

 ここではボリビア軍は善戦(出目6)して、1/1と痛み分けになります。

 さらにトレド要塞も攻撃してきましたが、これはさすがに3/0で大量出血。

 パラグアイ側は、パラグアイ河をラヴェロへ向けて迂回移動。しかし、これはボリビア軍に対応されて頓挫しました。

 第2ターンにパラグアイ軍は、フロリダの東の要塞に波状攻撃を実施します。二度目の攻撃で1/Rを達成して敵を後退させて要塞を奪取。

 第3ターンにフロリダ要塞を3/3で奪取しましたが、自軍の損害3はかなり痛かったです。

 第4ターンに2VPのARCE要塞を攻撃するも、1回目は3/0と大失敗。2回目でなんとか1/Rを達成して奪取に成功。

 第5ターン終了までプレイして、ここで中間判定ですが2VPしかない(5VPならサドンデス勝利)ので続行。

 しかし、攻撃側の出血を強いるCRTと、全軍の消耗を反映した消耗ルールの相互作用で最終ターンまでプレイしてもとても9VPを達成できるとは思えず、投了しました。

BANZAIマガジン#17を入手する

 なんと、ジム・ゾルダックです。第57装甲軍団。おー、カウンターアタックから久しぶりの日本語版。

 思えばシリーズ第1作の「第48装甲軍団の死闘」を提督さんとプレイしたのは、2010年だそうです(本ブログ調べ)。ybsさんと対戦したのは記憶に新しい去年のことです。

 今度は57装甲軍団ですか。とやかく言うより、まずやってみるのでしょうか。

我らが松井玲奈、ついに大河ドラマに初出演

 おー、とうとう。

 家康の側室と言うかお手付きのお万の方です。

 割と史実に正しい脚本になっていて正室の築山殿の抗議を受け、自ら後ろ手に縛られて木に繋がれて好きに折檻してくださいませと。

 うーん、正妻が架純ちゃんで愛人が玲奈ちゃんとは、なんと羨ましいことか。

 強いて言うならば正妻と愛人は逆の方が理想形でしょうか。家を守る正妻は頭の良いしっかり者、愛人は癒し系。

☆5つの標的を読む

 山田正紀です。

 一連のゲームノヴェルものの最後になります。

 巻頭は「地下鉄ゲーム」。

 現金強奪に挑むことにしたカップルが地下鉄線路内に逃げ込んで、鉄道マニアの刑事課長と知的闘争をするゲームです。

 千代田線と有楽町線を結ぶ国会議事堂付近の脇線が登場します。と言うと、「交渉人・真下正義」を思い出しますが、そのものずばりの線路です。桜田門の真下で警察を出し抜くというのがインパクトあるのか、ここでも登場。

 地下鉄に乗ってデートしていたというカップルと、鉄道マニアの刑事課長のどちらの知識と知恵が勝利するか一気に読ませます。意外なことにカップルが逃げ切って終ります。

 「真夜中のビリヤード」

 孤独な青年が入り浸る場末のビリヤード場。そこに転がり込んでくる男と女。

 いかにも山田正紀的な造形です。

 「四十キロの死線」

 息子と折り合いの悪いやり手の経営者。息子の新会社出資を拒絶したら、なんと優秀なエンジニアである息子に愛車に仕掛け爆弾をセットされてしまいます。一度、時速40キロを越すと、次に40キロを下回った時に爆発するというのです。要は映画「スピード」です。

 運転しながら必死に知恵を巡らし、どういう仕組みで減速を検知するかを考え、爆弾を出し抜く方法を試みますが、どれも想定され対策されており次第に追い詰められていきます。

 しかし、最後には意表を突いた方法で息子を出し抜いて反撃に転じます。

 「ひびわれた海」

 首都圏直下型大地震の噂を意図的に流す大企業。そこに勤める女性が地震は本当に来るという投書を週刊誌にする所から始まり、本当に地震が起きて湾岸エリアが液状化する大惨事までです。

 「熱病」

 バブル全盛期。世界の名画を日本が投機的に買い漁っていた時代、それを政治献金に利用する企業と政治家。それを出し抜いて名画を盗もうとする数人の一匹狼(日本語が変)の若者たち。

 「地下鉄ゲーム」が群を抜いて面白いので、それだけ読めば良いのかも。次点は「四十キロの死線」。

 脇線の話しは、こちらが詳しいです。

https://trafficnews.jp/post/79262

神の手を見る

 近年絶好調の吉岡里帆主演の2時間サスペンス。

 となると、どうしても期待値が上がってしまってハードルが高くなり過ぎました。かなりガッカリする凡作でした。

 忘れられかけた児童誘拐事件を追うフリーライターに吉岡。それとは別に今の旬の話題として文学賞受賞作の盗作事件を書けと言う編集長(尾美)。この段階で2時間サスペンスのお約束で両者は交錯することが自明となります。

 吉岡の友人ジャーナリストで変死した高岡に市川由衣、盗作された未世出の作家に入山法子と並ぶのですが、どちらも魅力的でない。言ってしまえば、吉岡もあまり魅力的に映っていない。どうしてなのかと思いますが、やはりストーリー展開やセリフ回しに魅力がないかと思いました。

 まぁ、吉岡の今の格からすれば、二時間サスペンスはドサ周りなのかも知れませんが。

 脚本の山本むつみもヤキが回ったか。

☆ダーウィンの使者を読む

 グレッグ・ベアです。

 ベアの長編を読むのはいつ以来でしょうか? このブログを検索しても出てこないので20年くらいは読んでいません。まさか「ブラッドミュージック」以来ではないと思うのですが、そんなはずはないと否定する自信がありません。

 アルプスでネアンデルタール人の夫婦と、その子供と思われる新人類の子供のミイラを見つける所から始まります。

 本書の最大のテーマは、進化は漸進的ではなく突発的なものだと思われる証拠が頻繁に見つかるのはなぜか?‥です。ネアンデルタールから新人類(われわれ)が生まれて入れ替わるのには、ほんの1~2世代しか掛かっていないのではないか? という出発疑問です。

 そして、それはゲノム中の現在は役に立っていない部分に埋もれている内在性レトロウィルスがなんらかのトリガーで発現して新種を一斉に妊娠させるからではないかという仮説で上下二巻本のボリュームを押し切ってきます。

 重厚な作品ですがリーダビリティは非常によく快適に読み終わりました。また、ベア作品を読む日は来ることでしょう。

 今まさにわれわれが次の人類に置き換えられようとする事態が発生するのですが、古典的進化論を信奉する科学者は認めようとしません。そればかりか、レトロウィルスから発現した古代の伝染病が蔓延し始めたのだと、CTC(感染症予防センター)や副大統領はパニック的な対応をします。

 このパンデミック・パニック小説的な所が、今読むと非常にタイムリーで、ぐいぐいと引き込まれます。これにまあまあの出来栄えのラヴストーリーが並走します。

 それ以上に感染病対策プロジェクトの中の政治的権力闘争が興味深く読めます。「シン・ゴジラ」の省庁間の押し付け合いと似たような面白さです。

 本書には「ダーウィンの子供たち」という続編があるのですが、訳業が遅かったので原書で読まれた方の感想がこちら。

http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/PaperBacks/Darwin%27sChildren.htm

 これを読む限り、続編は骨太の進化ミステリーではなくなってしまうようなので、暴騰(上下巻とも2000円以上)していることもあり、探しません。固く誓います(笑)