もっとも残酷な月のフォト日記

 感想は既に書きましたが、画像をカメラからDLしたので、

 最初の英軍の砲兵偵察任務の偵察機を迎撃して、ステップロスさせた所です。最初の戦果。

 続いて敵の護衛機にも牙を剥きます。

 どこの上空で戦っているかと言うと、ヒンデンブルグ線を守るドイツ歩兵の上空です。

 二度目の空戦。今回はドイツの奇襲です。

 英軍は1,2を、独軍は2,3を使っていますが、これは自由に選べて、かつ前に詰めません。ですので、英軍が2機とも動いてから独軍2は動いて奇襲です。

 今度は気球バスター。またしてもドイツ軍の奇襲。

 インメルマンターンで、英軍戦闘機の真後ろを取りました。

 英軍のランダムイベントによる野戦飛行場への夜間爆撃。心胆寒からしめらるる爆撃でした。

☆爆発物処理班の遭遇したスピンを読む

 久しぶりの佐藤究です。

 こちら以来。

bqsfgame.hatenablog.com

 今回は短編集。主として小説現代からです。講談社の本です。

☆爆発物処理班の遭遇したスピン

 タイトルそのままですが、量子スピンを利用した起爆装置で、一方を鹿児島市に、他方を米軍基地に送り付けます。一方を観測することで他方のスピンが確定し、その結果、どちらかが爆発するという正に量子論的爆弾テロ。

 その片方を米軍基地に送り込んだので、鹿児島側を処理するために観察すると米軍基地内で爆発するかも‥、さぁどうするという余興です。

☆ジェリーウォーカー

 集中の白眉。

 人為的に変異させた危険生物の話しです。

 マーティンの「サンドキングズ」を思い出しました。

 本作の主人公は、シド・ミードもかくやというエイリアンデザインのトップアーティスト。彼の描くエイリアンの迫真性は、実は彼がそういったエイリアンを自分で作成して現物を観察しているからだというのです。

 その彼が新たな傑作をどうしても必要として、狂暴な火喰い鳥と猛毒のクラゲを掛け合わせて最凶の危険生物を作ります。生憎と不可直前に講演会の仕事が入って出張に行って帰ってくると、案の定、孵化した危険生物は留守番の友人を殺して逃走しています。

 クラゲは英語ではジェリーフィッシュですので、これが二足歩行するとジェリーウォーカーな訳です。

 彼は責任を自覚して立ち向かいますが、折角の作品を無駄に殺すことはできず、作品との対決映像を撮影して残します。彼の上司が彼のオフィスに来た時に、この映像だけが残っていますが、社長は警察には届けますが映像データのメモリースティックはポケットに隠し持って帰ります。

〇シヴィルライツ

 公民権です。

 暴排法の施行で、すっかり商売あがったりの新宿歌舞伎町の暴力団の話し。

 金に困って借金の回収にいくためのベンツも売却して50ccで行っています。主人公は、その貴重な50ccを盗まれてしまい、その落とし前のために指を落とすことに。

 この組ではワニガメを飼っていて、ワニガメの口の中に10秒間指を入れるのが落とし前です。運よくワニガメが口を開いたままなら助かるという話しです。

 しかし、助かるものは滅多におらず主人公は助かるために若頭が苦手な蛾を胃の中に仕込んでおいて決定的な場面で口から吐き出して飛び立たせる細工をします。指も怖いけど、この細工をするのも相当に怖いと思うのですが。

△猿人マグラ

 夢野久作の「ドグラマグラ」のオマージュです。

 福岡県に住んでいながら夢野先生を知らないという不届きな主人公の話し。しかし、小学校時代に、近所では「猿人マグラにされちまうぞ」という脅し文句が流行っていたという記憶が。この猿人マグラが実在するかどうか調べていくと、当地で神隠しにあった子供たちが連続人体実験にあっていたという事実を突き止めてしまいます。

〇スマイルヘッズ

 主人公は、あるシリアルキラーが収監後に描いた絵画を集めるコレクター。シリアルキラーは往々にして収監後に芸術に目覚め、少なからぬ作品を残すという。

 当該作者はイルカ人間の肖像画を多数ものにしたが、一点だけ立体作品ドルフィンヘッドを残したという。この貴重なドルフィンヘッドを買って欲しいという申し入れがあって、持ち主の所を訪ねるのだが、実は持ち主は立体頭部を集めているコレクターで、主人公は微笑んだまま首を斬られてスマイルヘッドにされてしまうという戦慄の結末。

〇ボイルドオクトパス

 主人公は雑誌に引退した殺人担当刑事たちの生活を連載しています。その一環として韓国の刑事までは書きましたが、LAPC(ロス市警)の引退刑事がインタビューに応じてくれるという話しが浮上し急遽渡米。

 いかにもというタフガイが出てきてセカンドハウスに招かれるのですが、そこで蛸を出されて、これを調理して食えと強要されます。

 イエローブラッドなら食えるだろうと言われ包丁と俎板を貸され、おろおろしているとボコボコにされてしまいます。朦朧とした意識の中でパトカーのサイレンが接近してくる音が聞こえて九死に一生を得ます。

 刑事はバリバリの白人至上主義者で、セカンドハウスの下からは殺された黒人の白骨死体がゴロゴロ出てきます。

☆九三式

 と聞いても判りませんが、九三式火炎放射器のことです。

 戦後直後、帰還軍人の主人公は金に困って米軍のアルバイトを引き受けます。夜の横浜で野犬狩りをするというのです。

 ところが、大岡川のほとりのバラックに行くと、駆り立てるのは野犬ではなく浮浪少年たち。それも、DDT噴霧器で追うのではなく、火炎放射器で追って焼き殺してしまうという恐ろしい話しです。

〇くぎ

 横浜少年鑑別所に入れられた少年。

 どうせ、お前みたいなのはここを出ても何度でも戻ってくるんだと決めつけられ、そんなことはないと心に固く決めて出所します。

 しかし、就職した独身寮付の塗装屋は、気が付けば外国人ばかりになり、その一人が警察官に職務質問されたことから事態は急迫します。塗装工事の客の家で、母親に暴力を揮う息子と衝突し、家の中に入ると息子は行方不明の中学生を家に拉致監禁していることを発見してしまいます。

 

 ヴァイオレンスの多重奏みたいな短編集で、後味はすごく悪いのですが、それでもどれも読み始めるとページを捲り続けてしまう魔力を秘めています。

千葉会:もっとも残酷な月を対戦プレイする

 プレイしました。
 空戦ゲーム同志のWilandorさんと。筆者はプロイセン軍担当です。
 「血の4月」ではドイツ軍はアルバトロス戦闘機(D2、D3)を投入して西部戦線での航空優勢を確立したのだそうです。そういう意味ではアルバトロス戦闘機と、リヒトホーフェンが主役のゲームです。
 プレイした感想として、
×:ルールの書き方は非常に悪い。特にシークエンスの説明に、各フェイズにやるべきことがきちんとリストアップされていない。
×:ATOで公開しているプレイの例で適用しているルールがしばしば間違っている。
 というのは非常にいただけませんでした。

 このため、ルールを探したり議論したりするダウンタイムが膨大となりました。
 10時集合で16時半までプレイして、長い長い第1ターンを終わるのがやっとでした。食事時間を引いても5時間半はプレイしたので、それで1ターンかと思うと、いささかうんざりです。もう一度プレイすることはないだろうと思います。

〇:シェンノートと比較すると、WW1とWW2で飛行機の役割や重要性がどう進化したのかを理解するには非常に良い教材になっている。
 空戦ゲーマー的には、この部分は大いに評価に値すると思います。
 WW1の空戦ゲームというと、複葉機のミニチュアを使ったミニチュア系のドッグファイトゲームが主力を占め、陸戦作戦との連携でミッションの意義を考えるようなゲームは本作登場まで見たことがありませんでした。

 シェンノートでは、ラングーンレーダーを破壊するという対施設攻撃任務が焦点となり、それに対する迎撃と護衛の空戦が空戦部分の醍醐味でした。
 WW1では、そこまで有力な対地攻撃任務ができる機体がないので、最大の任務は地上攻勢の軸となる砲撃を支援する砲撃偵察任務となります。そういう思い込みでプレイして、英軍は第一ターンの優勢任務2回を砲撃偵察に充ててきたのですが地上戦フェイズまで進んだら、どうも違ったようだという話しになりました。
 本作では地上戦は防御側の防御力でコラムを決め、このコラム上でd10+攻撃側の攻撃力で判定します。この時に砲撃支援ポイントはdrmとして両軍がそれぞれ投入できます。攻撃側のASPから防御側のASPを引いた差分をd10に加算します。なので、効くことは効きます。しかし、ASPは一回使い捨てなのです。
 それに対して、気球観測支援レベルというのがあって、これは各戦闘のコラムシフトに使用します。加えて気球観測レベルが毎ターンのASPの補充ポイントになります。
 なので、気球レベルはコラムシフトにも間接的にdrmにも効くので、CRTの横にも縦にも二重に効くので砲撃観測より気球撃墜任務をやった方が良いのです。
 ゲームの途中からそういう気配が漂ってきたので英軍は三番目の通常任務は気球撃墜に切り替えてきました。
 さらにランダムイベントで夜間爆撃が発生したので英軍は最後の任務(夜間爆撃は最後にしかできない)で夜間爆撃してきました。
 この日のドイツ軍の空戦攻撃は非常にダイスが走っており、撃墜3、中破2の合計8ステップの損害を英軍の偵察機/戦闘機に与えて、大いに意気上がりました。
 しかし、最後に英軍が野戦飛行場を攻撃してきた時に大慌て。
 夜間迎撃をするような能力は当時の空軍にはありません(ナイトファイター参照)。なので、できることは緊急退避(駐機機体を発進させて別飛行場へ避難)だけです。ところが、この時に出撃履歴と駐機機体数を+drmとして、機体の速度以下を出さねばなりません。駐機していたアルバトロスはいずれも出撃済みで機体数が2なので、+3。アルバトロスの速度は4ですから、1を出さねば退避できず結局駐機したまま攻撃されました。幸いにして英軍の爆撃は命中しましたがヒット数がゼロだったので事なきを得ましたが、ターン最後にあたふたしました。
 この夜間爆撃のランダムイベントは、d10の1-2で発生するので終りまでプレイしたら(とても想像できませんが)ゲーム中に複数回発生しそうです。次にプレイすることがもし在ったら、前線に近い野戦飛行場に多くの機体を駐機させるのは避けるべきという戦訓を得ました。
 ところで、気球攻撃ですが、意外に当たりません。なぜなら気球なのに防御力が2もあるからです。英軍は戦闘機が少ないので偵察機で気球攻撃してきましたが、偵察機の攻撃力は2しかなく、防御力2でも相殺されてしまう(攻撃-防御の差分を+drmとする)からです。で、dr10+drmの結果を防御力と比較します。なので、防御力は2回使用し、事実上2倍になります。なので、ちゃんとした戦闘機を気球攻撃に差し向けないと成果が期待できないのでした。
 でも、空戦ゲーマーの心理として戦闘機は偵察機の護衛に付けるものと思い、偵察任務が本作の主要任務と思っているので、そういう運用は思いつかなかったのでした。
 やってみないと判らないことが多いゲームで、しかもルールの出来が非常に悪いので、きわめて不親切という印象は拭えませんでした。
 これから購入を検討される空戦ゲーマーには、「シェンノート最初の戦い」の方を選ぶことを強く勧めます。

ラングーン爆撃について調べる

 今週末にロールボーの「もっとも残酷な月」を対戦するので、同系列の「シェンノート最初の戦い」の自分の記事を読み直しています。

 で、ちょっと疑問に思ったのが、このラングーン爆撃の日本軍の主力爆撃機はなんだったのかということ。

 ウィキペディア英語版には、ラングーン爆撃の記事がありますので、翻訳機能で読んでみました。

第二次世界大戦におけるラングーン爆撃 - Wikipedia

 なるほど、三菱キ21ですね。で、そこから辿っていくと、

三菱 キ21 - Wikipedia

 97式重爆撃機。そう言われてもあんまりピンと来なかったのですが、米軍側ニックネームが「サリー」と聞いて、ようやく「エアフォース」の記憶が蘇りました。

 同爆撃機は設計段階では世界のトップレベルを行っていたとあります。しかし、他ならぬビルマ戦でウォーホークと遭遇した辺りから損害が嵩み始めたそうです。
 それでも終戦直前の沖縄戦まで使われ続けたと言いますから、日米戦争を代表する日本側爆撃機の一つなのですね。

西園寺さんは家事をしないを見る

 第1回は、特殊なシチュエーションを作り上げるのにバタバタした感じでした。

 で、その設定を利用して動き始める第2回。

 焼け出されて洗濯機がないという楠見君が、深夜にコインランドリーに行っているのを見た西園寺さん。なんでこんな時間に?と詰問しますが、理路整然と、5時まで仕事、定時でお迎え、そこから怒涛の夕食とお風呂と寝かし付け。

 「ごめん、この時間しかないよね」と認める西園寺さん。

 そこで、ウチのを使いなさいと命令し、夜投入させ朝一番に回収に来てもらうことに。

 しかし、うっかりそのことを忘れて朝一番にピンポンされてメイクする時間がなくて、こんな姿で登場。

 予告なくやってきたお父さんに状況を見られて逆切れする西園寺さん。それじゃあ、お父さんも立つ瀬がない。

 その様子も聞いていた楠見君、これはとても続けられないのではないかと言い出します。

 しかし、自分で言い出して引き受けた以上、一歩たりとも引けない西園寺さんはこれにも逆切れ。

 しかし、仕事でも失敗してしまいしおしおの西園寺さんに、久住家特製野菜スープを飲ませてもらって、思わず涙してしまいます。

 コメディだから仕方がないのですが、感情の起伏の激しい役で、ちょっと期待していた路線と違うかも。改めて「ファーストペンギン」や「正直不動産2」が凄かったのだなと思います。

 まぁ、期待通りではないにしても初主演ドラマですから最後まで応援予定です。

独身美女六人衆

 ちょっと気になっていたので調べてみました。

 四天王に収まらなかったので、すごく半端ですが6人衆(笑)

 女優さんは金銭的に自立していることもあり既婚率は低い印象がありますが、それでも調べてみると34才より上の人は大体結婚していました。
 表で言うと、古川愛李より上になります。
 この既婚者ゾーンの中に輝く未婚美女六人衆。
 筆頭が、柴咲コウです。もう42歳。このまま行くのでしょうかね。万人受けする美人ではないかも知れませんが、キムタクドラマの常連であり、大河ヒロインも務めました。六人衆の大親分と言った所でしょうか。

 副将に当るのが綾瀬はるかです。この人も大河ヒロインも務めましたし、森下ドラマの常連です。バラエティで見ると、ちょっと天然で付き合いやすそうな感じがするので、いずれ結婚するだろうと何年も思っているのですが、そうなりません。
 そこから下は部下の四天王(?)。
 比嘉愛未さんも押しも押されもしない美人ですが、ちょっと優等生に過ぎて息苦しい感じはあるかも。コードブルー女子会の新垣と戸田が結婚したので、彼女にも動きがあるかと思っていた時期もありましたが未婚。
 長澤まさみ東宝シンデレラから順調に来ている美女ですが、なかなかゴールインしません。最近はあまり浮いた話しも出ません。余談ですが、綾瀬、夏帆広瀬すずなど、海街ダイアリーの四姉妹は全員未婚です。
 藤井美菜も申し分ない美人ですが、未婚のまま。「静ちゃんとパパ」の好演で評価が上がった所でなにか浮いた話しでもと思いましたが、そうはなりませんでした。バラエティ番組で偽装結婚したくらい。こういう(偽装結婚ネタ)のは、本当に結婚が近い人には声を掛けないと思うので、当分はないのですかね。
 菜々緒も美人でナイススタイルですが、未婚。ちょっと細すぎる嫌いもあるので6人の中では特殊か。その代わり等身の良さと足の長さは群を抜きます。
 若い方へ下がっていくと、黒島結菜が「ちむどんどん」の宮沢と事実婚しているのが目を引きます。妊娠のタイミングでも入籍しなかったので、このまま法的には未婚のままでしょうか。
 一番下は先日、太賀と結婚した森七菜。まだ22才です。早いですね。

「長い暁」を読む

 司政官シリーズの第2短編集の表題作です。

 「司政官全短編」の作中時間順に従って読み始めました。

 「長い暁」は、1980年にSFマガジンに短期連載された中編です。

 司政官制度の黎明期、まだ連邦軍と司政官の関係も明確ではなかった時期に、ヤトウPPKキーンは、着任したミローゼンにおいて連邦軍と共に原住民文明の調査に赴きます。ここでは丁度原住民同士の戦争が始まる直前でしたが、原住民から戦争が起こっても一切どちらにも加勢してはならないと強く言い含められます。しかし、調査団長のオットーランドBBは、攻撃を受けて招待してくれた原住民側が劣勢になるのを見て加勢してしまうのです。

 このことによって調査団全員が死刑を言い渡されてしまうという、いわゆる連邦軍の「やってくれちゃった」話しです。

 ミローゼンの文明は、いわゆる神託政治なのですが、窮地にあってSQはミローゼンの巫女になり替わって演技をして調査団を無傷で返すように神託をくだし、調査団は辛くも調査船まで逃げ帰ることに成功するという話しです。

 これだけの話しを8か月に渡って連載したので、当時、読んでいて中身が薄い話しだなと思った記憶があります。司政官には、なんと言っても「消滅の光輪」という密度の高い傑作があるので、短期と言えども「連載」と聞いて期待過剰だったのだなと思いますが。

p141

 ちょうど資料整理の作業が一区切りついたところだったヤトウPPKキーンは、二十分後にはそちらへ行けるだろうと答えた。

p143

 六人とも顔なじみだった。

 駐屯隊長のカーマインPSSロックボウBAと、副官のヘンゼルPSSオットーランドBB。それにギスクBCに、ミンライBC、ハーケンダインBC、シェドBC。

p144

 ミローゼンに駐屯している連邦軍は人間60名、ロボット150体という小じんまりとしたものであったから、これだけのメンバーで充分運営して行けるのである。

p147

 ヘンゼルBBは答え、ヤトウへ視線を当てた。「司政官、実は三時間ばかり前に、調査船が漂流中の原住民の船を曳航して、戻って来た」

「ははあ」

p151

 なぜミローゼンの陸地がこんな風なのかについては、連邦軍の調査部門もヤトウのほうも、一致した見解を持っていた。気候が温暖というよりもむしろ暑いことと相まって、ミローゼンは現在、大海進の時期にあるのだろうというのである。それは、ここの現住者がどうやらみな共通の体型を勇士、言語も基本のパターンは似通ったところがあるのから考えても、かれらがかつて大陸に住み広くあちこちに住んでいたのが、海進によって高地へ高地へと追いやられた‥

p152

「そういうわけで、われわれは現住者との、いわば交渉団を送り出すことになった」

 カーマインBAは、ヤトウに顔を向けていう。「漂流者たちを安全に故郷へ送り届ける一方、その島の主な現住者なりしかるべき組織なりとコンタクトを図るのだ」

p163

‥そういう風に考えると、ここにはありとあらゆる組み合わせがあって、しかも住んでいる人たちは基本的に同じなのだから‥いわば、自然に出来あがった社会学の実験場みたいなものだとは、いえないかしら」

p176

「もっと魚を呉れといっています」

 ロボットが通訳する。

 シェドBCには、現住者が使った単語によって、その前に分かっていたらしい。彼女は小さく頷くと、現住者を向いたまま、問いかけた。

「どうしてそんなにたくさん要るの? われわれが充分供給しているはずよ」

 しかし、現住者たちは、納得できないという表情で、しばらく黙ったままであった。

p191

「かれらは分かるといっています。ここの景色は何度か通りかかったので覚えているそうです。これはナ・エ・サのダガで、ヤ・ゴ・デのダガではない。ヤ・ゴ・デはこの右手むこうに見えているから、そちらへ行けばダガノヤに着くとのことです」

p202

 船は帆走をはじめた。

 ダガノヤはいよいよ近くなって来る。

 今では、ヤトウにも、ダガノヤがどういうかたちになっているのか、ほぼ見てとれるようになっていた。

p214

「私はリブヤのツ・エン・ニである、といっています。ふたりのタガノヤ人を助けてくれたことは聞いた。もっとくわしい事情を聞いて、どういう扱いをするか決定するために、クリブヤとあってもらわなければならない」

p227

「私はクリブヤのダ・レ・バンガである、といっています。タガノヤの住人にしてダガのメンバーであるふたりを救助し、連れてきてくれたことに対して、礼をいう、とのことです

 かれらは、われわれに、仲間を助けてくれた外来者が得られる待遇をすべて与える、といっています」

p234

「では、どことたたかうのかね?」

「われわれは、おそらくあす、ジャチャの攻撃を受けるだろう、と、いっています

 ジャチャはここから東北の方向、鉱山のかなたの、山を越えたところにあるそうです」

p240

「やはりあのダ・ガというのは、神殿のようね」

 唄っているふたりを見ながら、シェドBCが誰にいうともなくいった。「すると、カルダガというのは、ダガなる神のお告げを伝える巫女の一種じゃないかしら」

p296

「カルダガが代わっても、官僚機構は継続するんだ」

 彼も応じた。「そういえば‥戦闘員を限定して、そのほかのものに戦闘を許さないというシステムは、官僚機構を温存するための措置なんだ。無差別にたたかっては、こんな小規模の集団では支配階級が壊滅し、行政能力を喪失してしまう」

p314

 ‥とんでもない話だが、ダガにとりつかれダガの言を伝えている真似をしているのだった。神託をタガノヤの古語で申し渡す演技を行っているのである。

 現住者たちは、あきらかに動揺していた。信じられないというようにSQを注視し、それから膝をついた。

p330

「それが当たり前ではないのですか? 司政官は英雄でないのが当然です。私の知っている英雄と司政官の定義には、共通の部分がほとんどありません」

「だろうね」