☆息吹を読む

テッド・チャンの17年ぶりの第2短編集。

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17年で本一冊しか出さなくても食えるというのは羨ましいご身分です。しかし、それだけの圧倒的なクオリティではあります。

なんと言っても表題作が凄い。

読むのは三回目だと思います。差圧をエネルギー源として生きている生物が圧力平衡に達して死滅する物語。熱力学死のアナロジーであり、非常にSF的なアイデアです。しかし、それ以上に筆致が素晴らしくネタ割れで損なわれない価値があります。

「商人と錬金術師の門」は、アンソロジーに続いての再読。こちらも小説としての質感が優れていて再読でも価値が下がらない普遍的な佳作と思いました。

「オムファロス」は、SFMを買っていないので初めて読みました。化石を辿っていくと宇宙起源があって、それより前には宇宙は存在しなかったと確信される世界を描いた短編です。科学が信仰を証明するので、宗教と対立しない世界と言い換えられます。

「不安は自由のめまい」

ボブ・ショウのスローガラスはSF界でも有名な発明品。その系譜に連なるプリズムは、量子的な世界分岐によって両方の世界に並行存在する端末で、両者の間で通信できるというのです。結果として、違う選択をした自分と通信できると言うのですが、そのことが人々の心理や行動に与える影響を考察します。途中までは着地点が見えずに少しもどかしいのですが、最後の収束は鮮やかです。「あなたの人生の物語」に近い読後感を持っている傑作です。

次の短編集が読めるのは、また15年くらい先になってしまうのでしょうか? それまで元気でいなくては(苦笑)。

ナポレオン退却す:クラオンヌ(AtB)シナリオを並べる

今月の千葉会でやりましょうという話しになり、クラオンヌのアプローチトゥバトルシナリオをセットアップしてみました。地図盤S、Nとフルマップ2枚を使います。連合軍側の主力は地図盤Sから北東に向かって地図盤Nの東側へと行軍しています。対するフランス軍の主力はキャンペーンでなければ使用しないE盤の配置指定となっており、したがって本シナリオでは登場しません。

うーん、登場戦力のバランスがすごく悪くて、これでフランス軍はどうするのだという感じです。

折角ならべたのですが片づけることにして、兵力バランスが取れているのはないかと見てみたら、クラオンヌの(DoB)シナリオでは、割と均衡していることが判りました。翌日の朝になるとフランス軍も頭数が揃って来ます。ターン数が短い(11ターン)かという気もしますが、それよりもシチュエーションが整っていることの方が重要かなと思っています。

底値と見て買いに走る

何のブログになったのかと思わせますが、「戦争と平和初版」を入手するに至ったという話しです。

昨日も書いた通り、新版をプレイした感想として、追加新シナリオやグランドキャンペーンをプレイしない範囲では、旧版の方がコンポーネントがユーザーフレンドリーな印象を強く受けます。

現実問題としてグランドキャンペーンを本格的にプレイする機会はありそうもないですし、新規追加のナポレオン初期のシナリオで是非ともプレイしたいというものも個人的にはありません。

そうなると旧版を持っていれば良いかと思い、今が底値かと見て買いに走りました。

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身近にも新版を発注、もしくは入手したので旧版を手放したという人が複数いますので、相場が下がるのは無理ありません。

とは言え新版をプレイした感想が広がっていくと、旧版の価値が見直されて反転上昇すると思うので買うなら今かと。裏を返せば、「売るなら今ではない」ということです。

両方持っていて売るのなら、「むしろ新版を売る」ことを考えても良いかも知れません(苦笑)。

臨時研究会:戦争と平和1813年を対戦プレイする

先般、ルールの大きな間違いでノーゲームとなった「戦争と平和新版」です。

今回は(多分)だいたい正しいルールで13年シナリオを対戦しました。

13年シナリオは、4月から12月までの9ターンですが、その内の6ターンのフランス軍ターン終了までプレイした所で、連合軍担当の小生が投了して終了しました。

要点を書きましょう。

ナポレオニックの戦略級ゲームとして煩瑣でなく、一年間戦役を一日で終われる貴重な作品

いわゆる「I go You go」系の単純システムだが、結局はこれで十分なのではないか?

しかし、新版と言いながらコンポーネントの機能性が低下しており、プレイしにくい

ルールは長年の経緯による多少の補足、明確化を除いて特に変わっていない

重要なことは新版がでてオークションの相場が下がったことだけでは?

 

マップ地形の識別性は非常に悪いです。また、旧版で言う地図版1(スペイン)と4(ロシア)だけで補給が厳しいことについて、新版ではフルマップになったためマップ上の黒実線で識別するようになったが非常に不親切。

これに加えて各国の国境、河川などいろいろなものがヘクスサイドを通っており、複数の境界線が通っているヘクスサイドでは極端に識別性が悪い。特にフランス国境を青にしたのは河川と判別が難しく最悪。

ユニットについては、サテライト小国ユニットが国別使い分けになっているためセットアップ時間を大幅に伸ばしている。また、戦闘時に重要なモラルの数値が非常に小さく印刷されていて極めて不親切。

プレイ中に戦力の減少によってユニットを両替するが、各国の歩兵、騎兵に複数の種類があるため、この作業時に種類を間違えやすい。一度、間違えてしまうと、中盤以降は是正することは非常に難しい。

30年ぶりにアップデートしたのなら、プレイヤーフレンドリーなコンポーネントにはして欲しかったが期待は大きく裏切られた。現状、新版登場で旧版のオークション相場は低下しているが、新版を実際にプレイした人の評判が伝わるにつれ、旧版の価格は再上昇するのではないか?

 

閑話休題

13年の諸国民戦争は、フランス軍プロイセン領に侵攻しゲーム終了時点でプロイセン領内に包囲されていない大都市を一個確保していれば勝利です。

ゲーム開始時点で、ハノーヴァー、マグデブルグを確保しており、カッセルも自軍勢力圏内。クラコフがオーストリア参戦と同時に入手できます(参戦するまでは都市内に侵入できない)。これに加えてハンブルグが両軍の境界にありますがフランスが先手なので手に入ります。

さらに、ナポレオン本体がドイツ中央部に進出することで、ライプチヒが手に入りました。結果として、フランスは合計6つの大都市をプロイセン盤(旧・地図盤3)に保有でき、ゲーム終了までに連合軍は全てを奪回しなければなりません。

諸国民戦争では連合軍の規模はフランスを明確に上回っています。しかし、将軍の能力や、部隊の士気と言った質の面ではフランスは依然として優位に立っており、焦点を絞った戦いであればフランスは決して劣勢とは言えません。その状況で9ターンで6個の都市を奪回するのは、ほとんど不可能ではないかという感想戦になりました。

前回の14年でも、パリに焦点が絞られてしまうと、ナポレオンをパリで撃破するのは至難と見られたので、13年でも14年でも連合軍は勝たせてもらえそうにありません。

しかし、「13年、14年で勝てないのなら、連合軍はいつ勝てばよいのだろう?」という話題になりました。

結論として、前述したコンポーネント問題とは別に、シナリオの勝利条件設定によるプレイ展開の誘導が非常に不味いという印象を強く持ちました。一度対戦すれば判るような話しなので、今回の新版作成に当って個々のシナリオのテストプレイは全くしなかったのだろうかと疑問を感じざるを得ません。

その一方で、冒頭に書いた通り、プレイアビリティと一定のプレイヴァリューを持つナポレオニック戦略級ゲームには、他に候補が見当たらないというのも事実です。

ナポレオニックは、少数派の熱心なファンが支えるサブジャンルになっており、その結果としてデザイン側も細かい史実まで再現するような精緻な(煩雑な)ゲームが増えてきており、結果としてプレイアビリティの低下が進行しているのかも知れません。SSシリーズの「皇帝ナポレオン」を別格として、今に至るも「戦争と平和」にとって代わるゲームが現れないことは、ナポレオニックゲームの現状の問題点を示していると言えましょう。

ところで、今回のプレイでは、連合軍はマグデブルグとクラコフを包囲戦で奪回しました。最後のターンにはカッセルに突入しましたが、ナポレオンによる反撃で再奪取されてしまいました。とは言え、6個の内の3個くらいはなんとかしたので、プレイ自体は一定の満足感はありました(負け惜しみ)。

ありそうで意外になかった?

mk2kpfb.livedoor.blog

昨年の夏から空戦ゲームを多くプレイしてきました。

そんな中で、少なくとも自分的には意外にプレイしていないのが、ドイツ本土爆撃、もしくは迎撃テーマです。

ドイツ側戦闘機で連合軍爆撃機を迎撃するという視点は、ウォーゲームの多くがアメリカでデザインされていることもあって、意外に見掛けません。

そんな中でこちらが登場したようで、ちょっと気になります。

完全ソリテアゲームなのはマイナスな気がしますが、「ナイトファイター」の例もあるので世評は見逃さないようにしなくては(笑)。

BGGの説明に、この表現があって気になります。

「with a strong narrative around the pilot 」

 

ナポレオン退却す‥の対戦に向けて

シリーズルールを再読しました。

続いて、クラオンヌシナリオに必要なシレジア軍ユニットを切り終えました。

クラオンヌからラオーへと続くシナリオがやりたいのですがありません。レイムスまで入れたキャンペーンしか用意がないのです。しかし、それだと、さすがにターン数の尺がいかにも長いです。もっともキャンペーンでは、ラオーとレイムスの間の二日間は休養日に充ててプレイせずにワープするルールが提案されています。それだと、クラオンヌ+ラオーに、ちょっと後日談が付属する感じでプレイできるのかなと思ったりもしています。

千葉会:祖国の危機を対戦プレイする - bqsfgameの日記

しかし、前回の進行実績からすると、一日でプレイするのは20ターンくらいでしょうか。クラオンヌのATB(アプローチトゥバトル)シナリオが26ターンなので、適切なセレクションとしては、これかなと思い直しています。

ナポレオンが退却する場面(ラオー)は、また別に対戦するのが妥当でしょうか。ただ、ラオーだけをプレイすると、フランス軍プレイヤーに醍醐味が薄いかなと思ったのでクラオンヌから繋げてプレイしようかと思ったのですが。

帯に短し襷に長しとは言いますが、ライブラリーのスケールでさえ一日対戦には軒並み長しなのですね。悩ましいものです。

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と言うことで、付録ゲームがマンシュタイン先生のスターリングラード救出作戦と言うので購入しました。

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パラパラとめくった感想として、イサンドルワナと、フラウシュタットは興味深いですね。日本史の包囲戦がなにかあっても良かったかなと言う気はしましたが、適当なものがなかったのでしょうか。日本軍が包囲されるコレヒドールはありますが。このコレヒドールの鹿内先生の記事が良くできていて、思わず買ってしまいそうになりましたが、同じテーマのレギオンの日本側の進攻もプレイできる2イン1もあるからと判断を保留しました(苦笑)。

付録ゲームは、積読になる前に消化したいと思っていますが、いまちょっとナポレオニックな季節になっているので、一拍置いてからになりそうです。