千葉会:もっとも残酷な月を対戦プレイする

 プレイしました。
 空戦ゲーム同志のWilandorさんと。筆者はプロイセン軍担当です。
 「血の4月」ではドイツ軍はアルバトロス戦闘機(D2、D3)を投入して西部戦線での航空優勢を確立したのだそうです。そういう意味ではアルバトロス戦闘機と、リヒトホーフェンが主役のゲームです。
 プレイした感想として、
×:ルールの書き方は非常に悪い。特にシークエンスの説明に、各フェイズにやるべきことがきちんとリストアップされていない。
×:ATOで公開しているプレイの例で適用しているルールがしばしば間違っている。
 というのは非常にいただけませんでした。

 このため、ルールを探したり議論したりするダウンタイムが膨大となりました。
 10時集合で16時半までプレイして、長い長い第1ターンを終わるのがやっとでした。食事時間を引いても5時間半はプレイしたので、それで1ターンかと思うと、いささかうんざりです。もう一度プレイすることはないだろうと思います。

〇:シェンノートと比較すると、WW1とWW2で飛行機の役割や重要性がどう進化したのかを理解するには非常に良い教材になっている。
 空戦ゲーマー的には、この部分は大いに評価に値すると思います。
 WW1の空戦ゲームというと、複葉機のミニチュアを使ったミニチュア系のドッグファイトゲームが主力を占め、陸戦作戦との連携でミッションの意義を考えるようなゲームは本作登場まで見たことがありませんでした。

 シェンノートでは、ラングーンレーダーを破壊するという対施設攻撃任務が焦点となり、それに対する迎撃と護衛の空戦が空戦部分の醍醐味でした。
 WW1では、そこまで有力な対地攻撃任務ができる機体がないので、最大の任務は地上攻勢の軸となる砲撃を支援する砲撃偵察任務となります。そういう思い込みでプレイして、英軍は第一ターンの優勢任務2回を砲撃偵察に充ててきたのですが地上戦フェイズまで進んだら、どうも違ったようだという話しになりました。
 本作では地上戦は防御側の防御力でコラムを決め、このコラム上でd10+攻撃側の攻撃力で判定します。この時に砲撃支援ポイントはdrmとして両軍がそれぞれ投入できます。攻撃側のASPから防御側のASPを引いた差分をd10に加算します。なので、効くことは効きます。しかし、ASPは一回使い捨てなのです。
 それに対して、気球観測支援レベルというのがあって、これは各戦闘のコラムシフトに使用します。加えて気球観測レベルが毎ターンのASPの補充ポイントになります。
 なので、気球レベルはコラムシフトにも間接的にdrmにも効くので、CRTの横にも縦にも二重に効くので砲撃観測より気球撃墜任務をやった方が良いのです。
 ゲームの途中からそういう気配が漂ってきたので英軍は三番目の通常任務は気球撃墜に切り替えてきました。
 さらにランダムイベントで夜間爆撃が発生したので英軍は最後の任務(夜間爆撃は最後にしかできない)で夜間爆撃してきました。
 この日のドイツ軍の空戦攻撃は非常にダイスが走っており、撃墜3、中破2の合計8ステップの損害を英軍の偵察機/戦闘機に与えて、大いに意気上がりました。
 しかし、最後に英軍が野戦飛行場を攻撃してきた時に大慌て。
 夜間迎撃をするような能力は当時の空軍にはありません(ナイトファイター参照)。なので、できることは緊急退避(駐機機体を発進させて別飛行場へ避難)だけです。ところが、この時に出撃履歴と駐機機体数を+drmとして、機体の速度以下を出さねばなりません。駐機していたアルバトロスはいずれも出撃済みで機体数が2なので、+3。アルバトロスの速度は4ですから、1を出さねば退避できず結局駐機したまま攻撃されました。幸いにして英軍の爆撃は命中しましたがヒット数がゼロだったので事なきを得ましたが、ターン最後にあたふたしました。
 この夜間爆撃のランダムイベントは、d10の1-2で発生するので終りまでプレイしたら(とても想像できませんが)ゲーム中に複数回発生しそうです。次にプレイすることがもし在ったら、前線に近い野戦飛行場に多くの機体を駐機させるのは避けるべきという戦訓を得ました。
 ところで、気球攻撃ですが、意外に当たりません。なぜなら気球なのに防御力が2もあるからです。英軍は戦闘機が少ないので偵察機で気球攻撃してきましたが、偵察機の攻撃力は2しかなく、防御力2でも相殺されてしまう(攻撃-防御の差分を+drmとする)からです。で、dr10+drmの結果を防御力と比較します。なので、防御力は2回使用し、事実上2倍になります。なので、ちゃんとした戦闘機を気球攻撃に差し向けないと成果が期待できないのでした。
 でも、空戦ゲーマーの心理として戦闘機は偵察機の護衛に付けるものと思い、偵察任務が本作の主要任務と思っているので、そういう運用は思いつかなかったのでした。
 やってみないと判らないことが多いゲームで、しかもルールの出来が非常に悪いので、きわめて不親切という印象は拭えませんでした。
 これから購入を検討される空戦ゲーマーには、「シェンノート最初の戦い」の方を選ぶことを強く勧めます。