永井謝耶子先生です。
「木挽町のあだ討ち」が良かったので、図書館で「横濱王」を借りたのですが、全然おもしろくなくて挫折。そこで、今度は出世作のこちらを図書館で借りてきてリベンジ戦です。
リーダビリティは非常に高くて楽しく読めました。
三座のある木挽町から室町、日本橋を経て大川を緒牙船で渡って吉原まで。
大富豪同心を読んでいると、すっかりここらへんはホームグラウンドです。
本作の主人公は若き日の遠山金四郎です。たまたま花魁の死体を見つけてしまい、それが背中からでなく正面から斬られていることに納得のいかないものを感じて自ら調べます。
結局、タイトルの通りで、一種の時間差心中だと判ってくるのですが、ミステリーとしてそれほど出来が良いという感じでもありません。また、江戸の景色も馴染みのものばかりなので(個人的な事情ですが)、新鮮味がありませんでした。
そういう意味では合格点ではあるけれども、木挽町と比べるとずっと見劣りしました。
永井先生をまた読むかどうかは要検討です。
それよりは、コーマック・マッカーシーを読もうかと思っている所です。