後から入手したものに埋もれてしまいそうで、一念発起してソロプレイしました。
第一印象としては、細かいルールが多いゲームです。
マップはA2サイズ、つまりハーフマップです。ただし、これとは別にメガへクス単位の空戦を操作する空戦マップがあります。
地上ユニットの数は少なく、特に初期配置ユニット数は非常に少ないゲームです。
空軍ユニットは、基本ルールと上級ルールで別の物を使用します。基本ルールは、各司令部の所属機体を全部で1ユニットにしてしまう大胆すぎるもので、評判はイマイチのようです。なので、最初から上級ルールでプレイして見ました。上級ルールになると空軍ユニットの数は、かなり多くなります。「シェンノート最初の戦い」ほど顕著ではありませんが、本ゲームも空軍が主役と感じました。
ルール的には、割と「オーソドックスでない」点が目立ちます。
戦闘は、戦闘比ではなく戦力差を用います。また、各種戦闘支援はコラムシフトではなくダイス修整で反映します。ダイス修整で最大の物は、モラル差によるものです。その意味で、モラル重視の戦闘システムと言えます。
戦闘結果ですが、モラルチェック、続いて戦力減少/後退となっています。戦力減少はステップロスではなく、ウォーゲーマー誌に良くあった1戦力ずつ減少する方式です。このため、戦闘結果は決定的にならず消耗戦になります。代わりに、1回の戦闘は最大3ラウンドまで実施できます。
また、芸の細かい話しとして、砲兵支援は3ラウンド中の第1ラウンドには使用できません。展開して砲撃開始するまでタイムラグがあることを反映しているのでしょうね。
空軍主体のゲームなので、爆撃と地上支援は分かれています。爆撃は対空港と対輸送船の2種類があります。護衛任務があり、迎撃任務があり、空戦は制空戦闘、対爆撃機戦闘、対空砲火を経て任務解決となります。作戦級の陸戦ゲームとしては、空戦ルールは非常に細かいと言う印象を受けます。しかし、爆撃対象が空港と輸送船に限定されており、対地支援もコラムシフトのような劇的な効き方をしないので、面倒な割には意外に影響が小さいと言う印象を受けました。
また、南方電撃戦と言いながら、ビルマ国境は山がちで道路がなく電撃戦が掛かりません。そのため、英軍は第1、2ターンに移動できないと言う特別ルールで補っています。
さらに、ビルマ国境に道路がないとラングーン港占領まで日本軍は補給に困るので、国境線の山を抜ける道路工事が重要だったりします。
それやこれやで、意外に効果の出ない対地支援のために空軍活動を考えたり、道路工事に知恵を絞ったりして、それでもカタルシスのない(つまり、電撃的でない)ビルマ侵攻になります。
個人的なイメージとしては、いささか期待外れと言う印象です。
空戦の醍醐味で見せる「シェンノート最初の戦い」や、南方電撃戦全体の戦略デザインをする「ビネガー・ジョーの戦争」と比べると、古いゲームだから仕方ありませんが見劣りする印象でしょうか。
数回プレイして煩雑な部分に慣れてスムーズにプレイできるようになると、評価は上昇しそうですが、このゲームに時間と労力を投入するかと言われると、ちょっと考えてしまいます。
しかし、マップのアートワークは一流ですし、数少ない日本側資料を十分に反映したビルマ戦ゲームなので、存在意義はもちろんあります。ルールが細かいと言っても、ハーフサイズみたいなものなので、アンプレイアブルと言うことは全くありません。このレベルのビルマ戦ゲームが日本で次にデザインされる機会は考えにくいので、その意味では非常に希少な資料です。