×モレルの発明を読む

bqsfgame2015-08-07

書肆風の薔薇の一冊。
ブエノスアイレスのビオイ・カサーレスの代表作。
モロー博士の島を下敷きにしている部分もあるが、五感の全てを記録して反復再現することで永遠の命を獲得するという話しに恋物語を絡めた幻想譚。
率直に言って、きわめてイメージ先行で、いささか作者が自分の紡いでいる幻想に耽溺しすぎではないかと言う気がする。そういうものが好きであればお薦めだし、それが苦手な人は手に取ってはいけないだろう。
本質的には短編作家だとされるので、そちらを読まないと総合評価はできないのだろう。ただ、短編集の訳本で簡単に入手できるものはないようだ。