大富豪同心の27冊目です。図書館。
ここ最近はずっとTVのシーズン3に対応する部分なのですが、今回は割とTV脚本に採用されていないエピソードが多かった印象です。
卯之吉の悪友の源之丞の親友と幼馴染の話しは、ちょっとしんみりさせます。これはTVでもあっても良かった気がします。
ちょっと登場人物が多くなりすぎるという判断なのですかね。
今回はおカネのマネージメントの才覚の一端を感じました。
p259
源之丞は
「俺たち武士は、どうしてこんなに貧しくなっちまったのかね。戦国時代から江戸時代の初めにかけては、武士が一番金を持っていたはずだぜ」
するとおカネが即答した。
「田圃で米を獲ろうとするからに決まってるよ」
「なにを言っている。米は国の根本だぞ」
「お取り潰しになった本多治部様は、高利貸しから大金を借りて、その金で田を増やそうとしていたのさ。ところが上手くゆかずに借金だけが嵩んでいって、借金を返すために重い年貢を課した。領民はいい迷惑だよ」
「領民を豊かにしようとしてやったことだろ」
「気持ちは善意かも知れないけど、やり方が間違ってるのさ。本多治部様の御料地は山深い田舎の小盆地。そんな土地柄なのに田を増やそうってのが間違ってる。最初から田圃に向かない土地なんだ。芋でも作ってりゃいいのさ
領民たちは賢いんだ。自分たちの土地で何が採れて、何が売り物になるかわかってるよ。武士だけが田圃を作らせたがるのさ」
「大名の席次は石高で決められるからな」