○北野勇作どうぶつ図鑑いもりを読む

bqsfgame2011-11-13

とうとう最終巻。
今回のいもりは、シリーズ中でも屈指の幻想色の強さ。
北野作品には、いつもどことなくふわふわした不安定さが伴うが、それが非常に色濃く出ている。
曖昧な旅は、まさに曖昧な世界を旅する断片的なシチュエーションを重ね合わせて描かれている。主人公は何故旅をしているのか、何処へ行こうとしているのか、そもそも今居る場所は何処なのか、それを言えば主人公は一体全体何者なのか?
なにもかもが不安定なのに、それでもページは進んで行く。
イモリの歯車も世界の仕組がそもそも不安定で危うい世界で、なにがいったいどうなっているのか、非常に居心地の悪い印象を受ける。
それでいてどこかしら懐かしい気がするのは、子供の頃に生活圏が狭かった時に、その外側に出て初めて旅行した時に感じる不安定な印象と非常に良く似ているからかも知れない。