○迷宮の将軍を読む

bqsfgame2013-07-16

長年の積読本消化月間にたまたま入っている‥(^_^;
ノーベル賞作家のガルシア・マルケスの長編。
ガルシア・マルケスと言うと、マジックリアリズムの印象が強いが、この時期の作品では新しい試みを一作品ごとにしていて余り幻想性は強くない。
実在の人物、ラテンアメリカ解放の父、シモン・ボリバルの最晩年の航海を描いた陰鬱な作品。
ボリバルは南米の多くの国をスペインから独立させた。しかし、それぞれの国では自分勝手な為政者が誕生し、ボリバルが夢見た統一ラテンアメリカ共和国は実現しなかった。そればかりか、ボリバルは表立っては言われないものの邪魔者扱いされ、晩年には留学の地であったヨーロッパに再び訪問しようとしていたとも言われる。
そんな、味方に疎まれ、死期を迎えていることを周囲も認識していた最晩年の航海である。
陰気な設定にしてはリーダビリティは高く3日間でさくさく読み終わった。しかし、面白かったかと言われると考えてしまう。大ベストセラーの百年の孤独と比べるべくもないのは止むを得ないとして、今までに読んできたラテンアメリカ文学の中でもエンターテインメント性は落ちると思う。新潮さんは、良く本書を訳出してくれたものだ。それもこれもノーベル賞の威力ではあるかと思うが‥(^_^;