長年の積読本消化月間にたまたま入っている‥(^_^;
サンリオSF文庫1987年の初版本。
プリーストのアンソロジーは珍しい。しかし、メンバーが凄い。シェクリイ、オールディス、ハリスン、バラード、ディッシュ、ショウ、ワトスン、プリーストと言わずと知れた大御所ばかりだ。
イギリスSFのこの時代の人間で抜けているなと思うのは、マイケル・コニイと、キース・ロバーツくらいだろうか。
巻頭がワトスンのスローバードと言うのは、プリーストとのライヴァル関係を考えると、なかなか興味深い。未来から時間を低速で逆行してきた謎の乗物に載っている人物は何者で目的は何なのか?
ボブ・ショウは、最近、昔のSFMの短編を続けて読んだが、もっと評価されて翻訳されるべき作家の一人だと思う。闘技場は、異星の生物を観察しに来たカップルが出会う、想定を超えた生物の生態。SFらしいアイデア、落ち着いた筆致。安心して読める得難い中堅作家。
プリーストの拒絶は、ドリームアーキペラゴシリーズの一作。原因不明で戦争状態の島で、壁の警備兵を主人公にした落ち着いた作品。SFと言うより、まさに「ザ小説」と言う感じ。
オールディスの中国的世界観は、植民衛星で発明した西欧文明ベースの予言機械を中国が支配する地球に売り込みに行くという作品。西欧文明の世界観と、中国的世界観が対峙する会話だけで読ませてしまうのは凄い芸だと思う。オールディスと言う人は、あまりになんでも書けてしまいすぎて大成しきれなかったのかなと思わせる怪作だ。