フランケンシュタインを見る

NHKBSのダークサイドミステリーです。

一般には「フランケンシュタイン」と言うのは、巨体のジグソー的な人造人間のことだと思われていますが、あれは「フランケンシュタインの怪物」であって、フランケンシュタイン本人はそれを作ったマッドサイエンティストの方です。
番組冒頭でも「怪物くん」への言及がありましたが、日本では怪物くんの手下の「フランケン」のイメージが圧倒的に強く、あれで有名になってしまいました。大柄で怪力だけど、実は心優しいというイメージです。
実際、原作でもフランケンシュタインの怪物は人々と友達になりたかったのに怪異な容貌で恐れられ失望のどん底に。そこから創造主であるフランケンシュタイン博士への復讐を思い立ってモンスター化するので、心優しいという造形は的外れではないのです。
SF界では、ご存知、オールディスが「十億年の宴」でSFの出発点としてシェリー夫人の「フランケンシュタイン」を喧伝したので必読書の一つとなりました。と言いつつ、筆者は未読なので、良い機会だから図書館で借りてこようかと思っています。
フランケンシュタインを覚醒するのに当時は未知の新技術だった電気が使われているのは興味深いです。テスラ博士がいろいろな創作で重要人物として出てくる(たとえばプリーストの「奇術師」)のと同じ理由ですね。
同様に怪物と博士が最後の対決をする場所に北極が選ばれているのも当時のトワイライトゾーンだったということでしょう。
フランケンシュタインの物語に関する正しい知識が広く知られるのは大変ありがたい気がします。SF界での扱いについては、コメンテーターの一人が本当に軽く触れただけで、そこはちょっと残念に思いました。
シェリー夫人のような両家の子女(執筆時19才)がこのような物語を書いたことに、当時は大変な非難が集まったというのは初めて知りました。女性差別の一つの現れですね。