SFマガジン400号の傑作再録シリーズの一篇。
チャールズ・ハーネスである。
と言っても若い人には誰だか判らないだろう。ハーネスの処女長編「昨日へのフライト(パラドックスマン)」は、彼のオールディスにワイドスクリーンバロックと命名された。その後の長編「薔薇」も玄人筋では評判の作品だったそうだ。
しかし、日本では不遇で短編がいくつか訳された以外では、サンリオから「ウルフヘッド」が訳されたが凡作で評判が悪かった。それっきり訳される気配はない。
現実創造は文庫本で100ページくらいに当る中編。人間の認識が世界を形成すると言う哲学が真実だと言うネタで、それを利用してアインシュタイン的宇宙を破壊すると言うお話しである。
正直に言ってしまうと、どこが面白いのか判らなかった。
描写力に劣り、人物造形の魅力に欠けていると思う。「ウルフヘッド」は未読だが、これでは探す気にもならない。オールディスが褒めたと言う処女長編が訳されない限り、もう読むことはないであろうか。
ちなみにイギリス作家ではなくアメリカ作家である。しかし、イギリスでしか評価されなかったようだ。