WOWOWです。
「3丁目の夕日」の山崎監督の脚本監督作品。
戦艦大和の沈没シーンから始まります。
そして、戦艦金剛老朽化後の新造艦コンペへと進みます。
巨大戦艦建造を主張する嶋田少将と平山造船中将。それに対して新型航空母艦を主張する永野大将(國村)と山本少将。
航空母艦案より圧倒的な排水量の巨大戦艦案が安いことに疑念を感じ、巨大戦艦の正しい建造費を算出するために、帝大の数学の天才、櫂直を起用します。
しかし、短すぎる納期、軍機の壁、中傷ビラなどに悩まされ、最後には危機感を感じた嶋田一派が大臣に掛け合って、さらに納期を短縮します。
そんな中で、造船設計など知らなかった数学者が、いかにして巨大戦艦の妥当な建造費を算出するかが主題です。
脚本は凝っており、プロジェクトは成功しますが、それにも関わらず平山造船中将の切り札が切られて巨大戦艦に決まりそうになります。そこから今度は造船設計技術者同士としての対決となります。
我々は史実で大和が建造されたことを知っており、一体どうしてそうなったのか最後までドキドキさせられます。そして、平山と櫂は、何のために大和を建造したのか。
計測と製図と計算と会議ばかりの映画ですが、ヒロインは浜辺美波。その女中で買収される役が、台詞が一つしかないのに木南晴夏で驚きました。
映画では敵役なのですが、田中泯の平山造船中将は見事でした。背筋が伸びて実際より大きく見えるのはダンサーならでは。櫂に予算偽装を看破されても悠揚迫らずに反論して見せるシーンは本作の見せ場でした。
「三丁目の夕日」では東京タワーが見せ場でしたが、本作での大和はそこまでではありません。しかし、大和の竣工式に、それを止めようとした櫂と山本がいるのは皮肉ではあります。