☆ダーウィンの使者を読む

 グレッグ・ベアです。

 ベアの長編を読むのはいつ以来でしょうか? このブログを検索しても出てこないので20年くらいは読んでいません。まさか「ブラッドミュージック」以来ではないと思うのですが、そんなはずはないと否定する自信がありません。

 アルプスでネアンデルタール人の夫婦と、その子供と思われる新人類の子供のミイラを見つける所から始まります。

 本書の最大のテーマは、進化は漸進的ではなく突発的なものだと思われる証拠が頻繁に見つかるのはなぜか?‥です。ネアンデルタールから新人類(われわれ)が生まれて入れ替わるのには、ほんの1~2世代しか掛かっていないのではないか? という出発疑問です。

 そして、それはゲノム中の現在は役に立っていない部分に埋もれている内在性レトロウィルスがなんらかのトリガーで発現して新種を一斉に妊娠させるからではないかという仮説で上下二巻本のボリュームを押し切ってきます。

 重厚な作品ですがリーダビリティは非常によく快適に読み終わりました。また、ベア作品を読む日は来ることでしょう。

 今まさにわれわれが次の人類に置き換えられようとする事態が発生するのですが、古典的進化論を信奉する科学者は認めようとしません。そればかりか、レトロウィルスから発現した古代の伝染病が蔓延し始めたのだと、CTC(感染症予防センター)や副大統領はパニック的な対応をします。

 このパンデミック・パニック小説的な所が、今読むと非常にタイムリーで、ぐいぐいと引き込まれます。これにまあまあの出来栄えのラヴストーリーが並走します。

 それ以上に感染病対策プロジェクトの中の政治的権力闘争が興味深く読めます。「シン・ゴジラ」の省庁間の押し付け合いと似たような面白さです。

 本書には「ダーウィンの子供たち」という続編があるのですが、訳業が遅かったので原書で読まれた方の感想がこちら。

http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/PaperBacks/Darwin%27sChildren.htm

 これを読む限り、続編は骨太の進化ミステリーではなくなってしまうようなので、暴騰(上下巻とも2000円以上)していることもあり、探しません。固く誓います(笑)

犬神家の一族を見る

 NHKのBSプレミアム特別ドラマです。

 金田一は、吉岡秀隆佐清は、源頼家:金子大地、珠世は、どうする家康で活躍中の古川琴音と言うバリバリのNHKキャスティングです。

 実は筆者は本作の映画を見たことがなく、池から突き出した両足や、白覆面の佐清という有名な画像しか知りませんでした。そうか、こういう話しなのですか。

 生き地獄とも言えるビルマ戦線から生きて帰ってきた佐清の造形がやはり凄いです。冒頭の戦場で自分の足の傷に沸いたウジを食べて生き延びるシーンのインパクトがありすぎです。

チャコ戦争をソロプレイする2

 千葉会での対戦に向けて最終予習です。

 第1ターンのボリビア軍側の攻勢。パラグアイ側のボケロンに対して接敵して第1戦闘でまず殴ってみます。

 ボケロンの南東にあるナナワを奪取。パラグアイの補給拠点であるイスラポイに圧力を掛けることに成功します。

 パラグアイ側はボケロン北西のトレド方面から攻勢に出て、戦線は反時計回りに回転し始めます。



 

家族だから愛したのじゃなくて、愛したのが家族だったを見る

 「グレースの履歴」枠の録画予約で録れたので見ました。

 変なテイストのファミリードラマです。

 最初はダウン症の弟が、コンビニでジュースを買ってきたのに、「お金の支払いができないはずなので、「すわ万引きか」と店にお詫びしに行く」エピソードからです。主人公の女子高生、七実は高校では三軍ヒエラルキーにいて、「ダウンの弟がいる可哀そうな家の子」というポジションです。演じる河合優実が非常に良い感じに変なテンションで演じています。「転がるビー玉」に出ていたそうなのですが記憶にありません。

 その友人の「マルチ」は、母親がマルチ商法に洗脳されていて、なんとクラスメイトの他所の家にマルチ勧誘をしているという三軍少女。演じるのは、「鎌倉殿の十三人」で泰時の妻を演じて落ち着いた演技を見せていた福地桃子です。全然別人のようで驚きましたが、こちらもなかなかに味のある女子高生です。

 主人公の母親が坂井真紀なのですが、「ダブルキッチン」では女子高生(当時の実年齢は22才)だった彼女も、女子高生のいる母親役(現在は53才)に。月日は流れたものです。

その母親が突然倒れてしまい、ダウンの弟が姉に急を告げ救急車で三人で病院へ。なんと大動脈剥離という命に係わる緊急事態。医師の説明を聞いて家族代理同意に署名する七実

チャコ戦争のルール勘違いに気付く

 チャコ戦争のルールを読み直していたら、おかしなことに気付きました。ルール本文中に、消耗と損耗という用語が出てくるのですが、てっきり訳語の揺れだと思ってどちらもステップロスのことだと思っていました。

 どうも違うようです。

 消耗はdepleted、損耗はattritionです。英文を確認すると、どうやら後者はステップロスのことで合っているようなのですが、前者はマーカーを載せるだけのようです。で、マーカーが載ると、戦力/移動力とも-1、さらに本ゲームで非常に強力な(ZOC間直接移動ができる)浸透移動フェイズの移動ができなくなります。

 Depletedという語感からすると、どうも不毛のチャコ地方で行動するための補給物資が足りなくなった状態を意味しているようで、これにより損耗しやすくなりますが、直接ステップロスする訳ではないようです。

 これはもう一回、千葉会の前に事前演習しておかなければ。

正義の天秤s2を見る

 正義の天秤が帰ってきました。

 その第2話。薬物使用で逮捕されるのが、リーガルハイの矢野聖人。

 しかし、彼は薬物は使用しているが彼の車から見つかった薬物は警察の違法捜査だと主張し、違法捜査の延長線上での尿検査も無効と主張します。

 当該薬物を発見した田中要次は、わたしは違法捜査はしていないという遺書を残して自殺。その遺書を持って亀梨と奈緒の所に抗議に来たバディの婦警が、なんと鎌倉殿の雑色だった山本千尋です。

 奈緒のアイデアで矢野の周辺を徹底的に調べた結果、亀梨は矢野の友人が同様の薬物現行犯逮捕で逃げようとして転落死したことを知ります。

 法廷で問い詰められた山本は、ついに

 確かに田中はやっていなかったのですが‥。

 矢野が薬物をやっているのは事実と認識している山本は最後まで怯みません。

 そのやりとりを聞いた亀梨は最後に言います。

 正義に携わっているものは、時に何が正しいか迷うものだと。

 そして、最後に奈緒に一連の審議を聞いた感想を尋ねられた泉(矢野)は、

 警察の努力には頭が下がると言いつつも、薬物を既に止めていた友人が転落死に追い込まれた経緯については許せないと答えます。

 「HERO」の高橋一生の回で木村拓哉も言っていましたが、「権力を持っているもののちょっとの保身の気持ちが無実の市井の人間を不当な死に導くことがあるということを」権力を持つものは常に自省しつづけなければならないのです。

 そして、ドラマはその数日後に矢野が再逮捕されたというシニカルなナレーションで終わります。

 重厚なドラマで、山本千尋は去年に続いて非常にインパクトのある役を演じ切りました。特に自白する直前、厳しい表情で弁護団を睨みつけたまま涙を流すシーンは圧巻でした。ご本人はアクション女優と自覚されているようですが、本格人間ドラマを演じられる本格派女優として大成を目指して欲しいものです。

三方ヶ原を見る

 「どうする家康」です。
 ついに「信玄上洛」です。その通路上に位置する遠江三河。家康は信長と打合せて、浜松城で籠城して信玄を食い止め、その背後を信長本隊が突くという策で応じることを決めます。
 疾風怒濤の武田軍は小城を次々に落とし続け、いよいよ浜松に迫りますがなんと素通り。ただ素通りされて岡崎を落とされては遠江の民にもみくびられると、仕方がなく武田軍を追って出陣しますが、三方ヶ原で追いついた家康軍の前には見事に布陣した武田本隊が。
 信玄は、「勝者は先ず勝ちて、しかる後に戦いを求め、敗者は先ず戦いて、しかる後に勝ちを求む。戦さは勝ってから始めるものぞ」と看破します。機動・布陣の段階で既に武田軍は勝利したのです。

 この機動戦の駆け引きは、ウォーゲーマー的には非常に見応えありました。この結果として家康が討ち取られてしまうかどうかは、また来週ですが、そのエピソードタイトルが「シン・三方ヶ原」だそうです。うーむ。