秀吉頂上決戦:山崎の戦いをソロプレイ

bqsfgame2008-09-23

GJ26号の付録ゲーム。
手軽なもので未消化のものをなにかやろうと思い立って急遽のエントリー。
しかし、予想以上に面白く、これをプレイしていなかったのは失敗だったと反省させられた。
デザイナーは日本が誇るふゅーらー中村氏。
ゲームシステムは、GJ強襲システムと言えば良いだろうか、アルンヘム強襲のエリア式インパルスシステムに、カードドリブンを加味したものだ。
しかし、本作はこれに加えて「義経」で導入されたデックコンストラクトの要素が加わっている。そして、なんとマルチカード使用ができるため、カードの連続使用による凶悪コンボが意図的にプレイできるものになっている。
システム的な進化として整理してみると、
●GJ10:旅順港強襲 エリアインパルス
●GJ17:関が原強襲 エリアインパルス+チット選択(効果としてはカードドリブン+デック構築)
●GJ19:スターリングラード強襲 エリアインパルス+カードドリブン
●GJ21:義経 エリアインパルス+カードドリブン+デック構築
●GJ24:レイテ湾強襲 エリアインパルス+カードドリブン (陸海空三軍統合作戦)
●GJ26:秀吉頂上決戦 エリアインパルス+カードドリブン+デック構築+マルチカードプレイ
と言ったところだろうか。
アルンヘム強襲システムだと、グループを指定して1行動を実施するとユニットは使用済みとなり次のターンまで行動できない上に、使用済み状態だと敵からの攻撃に対して脆弱性が増す。
ところが、本作のようにマルチカードプレイができ、しかもそのカードがデック構築で事前に選べていると、強行軍カードで移動して攻撃し、さらにマルチカードプレイで回復をプレイして前進した先でユニットを未使用状態に戻して終わるという従来のシステム常識を翻す荒技が使えるようになるのだ。もちろんカードを一辺に消費してしまえば、逆にターン終盤は相手に連続プレイされハイリスクを負うことになる訳だが‥。
一方、防衛側は伏兵というカードで、侵入された瞬間のカウンターアタックができるようになっている。相手がブリッツしてきそうな時には、これをデックに仕込んで置いて待ち受けるわけだ。
結果として本作は従来の類似システムより、大幅に戦術的な意思決定色が強くなり、ドラマチックな展開になる。合戦級のゲームなので、これは納得の行く範囲であると思う。ゲーム的には非常に面白いことは間違いない。

山崎の戦い

信長が決定的な地位を手に入れた桶狭間、家康が決定的な地位を手に入れた関が原に比べると、秀吉が決定的な地位を手に入れた山崎はウォーゲーム的には余りゲーム化されない題材だ。
たとえば、GMTのGBOHの「サムライ」は、桶狭間、関が原に加えて川中島姉川、長篠、三方が原というラインナップになっている。これに限らず、筆者の記憶の範囲では山崎の戦いの合戦級のゲームと言うのは本作が最初ではないかという気がする。理由としては合戦としては秀吉側の勝利が動きそうにないから‥というのがあると思うのだが、今でもスポーツなどで大事な試合では「天王山」という表現が用いられるのは本合戦から来ており、本作で山崎の戦いの実状がもっと知られて良いのではないかと思った。
ちなみに山崎の戦いが比較的知られているとすれば、大河ドラマ春日局」の冒頭に登場したから‥というのは言いすぎだろうか?

秀吉の大返しの前の鳥取兵糧攻め

山崎の戦いのもっともドラマティックな部分は、本能寺時点で鳥取兵糧攻めにしている最中だった秀吉の大返しだという気がする。
さらに遡って、なぜ鳥取城は兵糧攻めに敗れ去ったのか‥という話しについて、26号の柿崎氏のシミュレーションゲーム批判序説は詳細に納得のいく説明をしている。この原稿は素晴らしいので日本史ファンの皆さんは是非とも本号を発掘・捜索して一読して欲しい。わたしはこの原稿を読む機会を得たことだけでも、本ゲームを今になって発掘してプレイした価値があったと思うほどだ。
ゲームも面白く、関連記事も素晴らしく、いまさらという気もするがGJ26号は掘出物だったという気がする。