抜群に面白い展開だったとは言えないように思うが、それでもCWBならではの問題点を随所に含んだ非常に興味深いプレイだった。
以下、箇条書きにしていこう。
1:南軍の大胆な迂回機動の実現と、北軍のそれへの対応の鈍さ
南軍の盤上の部隊は、APヒル、DHヒル、ロングストリートの3指揮官とも本シリーズで最高の評価である4を保有している。このため、現場レベルでの臨機応変な意思決定が可能となっている。これが南軍の柔軟な作戦を可能にしている。
対する北軍は、ポーターの評価は3。これは悪くなく十分。しかしながら、マクレランが上層部におり攻撃命令に消極的なため、攻撃的なイニシアチブに対してはマイナス2の修整が付く。また、前述したように北軍指揮系統の特別ルールを勘違いしていて初期命令発動し損ねたのはプレイ上、非常に大きなマイナスの影響が最後まで残ってしまった。当たり前のことだが、シナリオ特別ルールは、きちんと事前に読解しておかねばならない。
2:北軍の攻勢の不連動
北軍は西方への攻撃を、各師団司令官個別のイニシアチブにより実施した。
結果として、前述したようにマコールの攻勢開始からモレルの攻勢開始まで2時間のズレが発生した。
現場判断による個別意思決定で連携した攻撃行動を行うことが難しいのは、想像に難くない。ところが、多くのウォーゲームでは、神の目を持つプレイヤーの視点で的確な状況判断が下され、それによって各部隊は最善の行動を直ちに開始できる。このことが非常に不自然であるということは、多くのウォーゲーマーがきちんと認識できていないのではないだろうか。
CWBのコマンドコントロールシステムは、この問題点を的確に盤上に再現する。特に現場指揮官の能力が低い北軍においては、臨機応変な反転攻勢の連携は至難の技であり、今回のプレイでもその通りの結果となった。
これはプレイしていて大変にもどかしいものだが、その反面、「そうか実際の軍隊の指揮系統と言うのは、このくらいにしか機能し得ないものなのか」という目から鱗が落ちるような悟りを与えてくれる。
3:南軍の攻勢の不連動
北軍背後への南軍の迂回攻撃は実現した。その尖兵となったDHヒルは16時から攻撃を開始しゲーム終了(19時)まで攻撃を継続した。
これに増援として到着したロングストリート師団は18時に到着したが、攻撃中止命令チェックに失敗して18時半には攻撃を中止してしまった。自軍の兵員の損害を省みず攻撃を継続するには強い意志が必要で、攻撃的な命令を続けるにはCWBでは毎ターンチェックが必要だ。今回はこのチェックが早々に失敗し、結果として南軍の攻撃も連携を欠くものとなってしまった。これもCWBならではの展開として、もどかしくはあっても他のウォーゲームでは見られない現実的な制約として興味深かった。