結局、ゲームは13時頃から19時前まで掛かって、最終的にローマ軍が崩壊レベルに達して完全決着するまでやりました。
カンネーほどの大きなシナリオを完全決着まで午後半日でプレイできるようになったのは、シンプル版の成果と言って良いでしょう。ここらへんはオリジナル版をプレイした人でないと有難味がわかりにくいところかも知れませんが。
感想戦
感想戦で、ローマには他に選択肢があったのだろうかと言う議論になりました。
しかし、結局、両対戦者の意見としては、この戦力配置状況の下では、ローマには他の選択肢はないのではないかと言うことで一致しました。
ローマ軍が劣勢である両翼で機動することは負けを早くするばかりなのでありえません。そうすると、ローマ軍は史実同様に歩兵の中央突破を図るしかありません。その時に、ローマ軍の特徴である縦深配置が仇になって、前列の軽歩兵が邪魔になってしまうと言うのは不幸と言うよりありません。
ローマ軍はマニプルス戦術で、前列の部隊と後方の部隊を交代させる機動を訓練しており、これが彼らの戦術的優位の一つでした。しかし、これは前列と後列の隙間が狭い時に有効であり、それはどちらかと言えば敵に押されている時、もしくは互角に歩兵がぶつかりあった時に有力です。
残念ながらカンネーではカルタゴ歩兵は前進して来ず、むしろローマ軍のハスターティが前進していくと積極的に後退してしまいます。結果として、ローマ軍の歩兵戦力の有効性はカンネーでは発揮することができません。そして、側面から騎兵で侵食されてしまうと、それに対する有効な手立てはありませんでした。
ザマに向けて
結果としてローマ軍は、次なる大会戦のザマに向けては、カルタゴのイベリア半島領土を奪い、さらにそこから北アフリカに渡り、そこにあった強力な騎兵を擁するヌミディア王国を調略することになります。
その結果、ザマでは逆にローマ軍が両翼の騎兵兵力では優越する状態で戦うことになります。
そして、ハンニバルはこの背水の陣の戦いでは、カンネーでとは逆に中央の歩兵による突破を試み、ほぼカンネーとは逆の状況になって敗北することになります。
このゲームの価値を誤解させる危険を承知で言ってしまうならば、古代戦の会戦の多くは、実際に戦術レベルで剣を交えるよりも先に、どれだけの兵力を動員して、何処で戦うかを設計することで勝敗が決している部分が少なからずあるのでしょう。
カンネーで優勢なハンニバル軍と決戦をすると言う選択をした時点でローマは間違っており、そこにハンニバル軍と互角に戦える騎兵兵力を集められなかったこと、カルタゴに匹敵するコマンドコントロールを準備できなかったことこそがローマの敗因であり、実際の戦場に至ってからの機動の失敗で負けたわけではなかったように思います。
これはポエニ戦争史を評価する様々な文献と意見の一致するところであり、その意味でSGBOHのカンネーは良く出来ていると言って良いと思います。
しかしながら、競技ゲームとしてローマ軍の勝機を求めるのはなかなかに難しいかも知れません。