感想戦で、ローマには他に選択肢があったのだろうかと言う議論になりました。
しかし、結局、両対戦者の意見としては、この戦力配置状況の下では、ローマには他の選択肢はないのではないかと言うことで一致しました。
ローマ軍が劣勢である両翼で機動することは負けを早くするばかりなのでありえません。そうすると、ローマ軍は史実同様に歩兵の中央突破を図るしかありません。その時に、ローマ軍の特徴である縦深配置が仇になって、前列の軽歩兵が邪魔になってしまうと言うのは不幸と言うよりありません。
ローマ軍はマニプルス戦術で、前列の部隊と後方の部隊を交代させる機動を訓練しており、これが彼らの戦術的優位の一つでした。しかし、これは前列と後列の隙間が狭い時に有効であり、それはどちらかと言えば敵に押されている時、もしくは互角に歩兵がぶつかりあった時に有力です。
残念ながらカンネーではカルタゴ歩兵は前進して来ず、むしろローマ軍のハスターティが前進していくと積極的に後退してしまいます。結果として、ローマ軍の歩兵戦力の有効性はカンネーでは発揮することができません。そして、側面から騎兵で侵食されてしまうと、それに対する有効な手立てはありませんでした。