☆ねらわれた学園を読む

bqsfgame2008-02-14

ねらわれた学園」の本編は再読。久しぶりに読んだが懐かしく、また独特の緊迫感があって楽しい。
ねらわれた学園」と言うと個人的にはなんと言っても往年のNHKドラマが印象深い。特に生徒会長、高見沢みちる役の阪本真澄さんがいかにも理知的で冷たい感じの演技ではまり役だった記憶がある。残念ながら阪本さんは他の作品ではあまり見かけることがなかったが‥。意表を突いたところでは、脇役で紺野美沙子さんが佐藤美沙子の名前で出ていたりしたらしい。
本作の魅力は日常の学園生活がファシズムを連想させるやり方で学内の生徒により徐々に侵食されていく部分のリアルな(?)緊迫感にあると思う。主人公の父の主人公を支援する姿にも、ファシズムとの戦いを意識したニュアンスが感じられる。この時にその軸となる生徒会長に高見沢みちるという女生徒をもってきたこと、そしてTVドラマでははまり役だった阪本さんが演じたことで魅力が倍化したのだと個人的には思っている。
もちろん終わってみると、侵略の仕方としては随分と気の長い方法だと思うし、此処まで気が長い割には進め方が乱暴で頓挫するし‥。と、突っ込みどころもあるのだが、それでも希代の傑作ジュブナイルだと思う。
同時収録の「0から来た敵」は、コピー人間の造反を題材にしたショートサスペンス。自分の偽者が自分の場所を奪ってしまって、自分の居場所がなくなると言うシチュエーション。これまた日常生活が突然崩壊する緊迫感のあるストーリー。
久しぶりに眉村ジュブナイルを続けて読んだが、ここら辺は自分のSF史の原点に近い部分なのでとても懐かしくて楽しくて居心地が良い。次は「地獄の才能」あたりを読んでみようか?