○死者の代弁者を読む

bqsfgame2008-06-16

1986年のカードのいわゆるエンダーのゲームの続編である。
この作品そのものは傑作だと思う。ただ、違和感があるのは、前作とあまりにタイプが違うということだろう。前作は戦争SFの傑作、本作は生態系SFの傑作だ。
その意味ではオールディスの「暗い光年」とソウヤーの「イリーガルエイリアン」を足したような感じと言えばいいだろうか。
人類が新たに遭遇した知的生命体ピギーとの腰の引けた遭遇の状況、その中で起こるエイリアンによる殺人、その背景にある彼らの星の異形の生態系。とっつきは悪いが中盤以降はかなり読ませる。
気になるのはただ一点、どうしてこれがエンダーの続編なのかだけだ。
カードは圧倒的な筆力でいつも読ませてくれるが、その一方で上手なセールスマンにだまされかかっているかのような印象を与える。傑作中篇エンダーのゲームを長編化し、次はそれの続編を。そして、本作は次の時代のゼノサイドを予告してさらに続編へと繋がる。この商売上手なところが少々いやらしい感じがするのだ。
ゲームデザイナーで言うとクニッツアに近いかも知れない‥笑
(入院先にて)