○千の脚を持つ男を読む

bqsfgame2010-12-03

「影が行く」が良かったので。
率直に言って個々の作品の水準は高く良いアンソロジーだと思う。
ただし、通して読んだときには、割と同じような定石的な展開のものが多いので、いささかリピーティティブな印象が強くマイナス。
「アウター砂州に打ちあげられたもの」は、ウルトラQの海底原人ラゴンそのまま‥(^_^;
「それ」は、幻想派の巨匠スタージョンだが、いささか小粒か?
表題作の「千の脚を持つ男」は、形式的には「異次元の吸血鬼?」のパターン。マッドサイエンティストが自分の体で実験してモンスター化してしまうという路線だ。しかし、そのモンスターが登場する過程を断片的なエピソードで上手く切り出しており、なかなか洒落ている。
「お人好し」は、破滅テーマの巨匠ウィンダム。彼の遺作「ユートピアの罠」思わせるスパイダーもの。ティプトリーの「愛はさだめ、さだめは死」をも連想させる。ただ、モンスターもののアンソロジーに収まっている作品かは少々疑問。
「スカーレット・レイディ」は、寸が長い割に期待したほどには物語が発展せず、キース・ロバーツだが期待したほどではなかった。