×ディアスポラを読む

bqsfgame2011-09-17

随分と苦しい思いをして読み終わった。
本の帯にある「究極のハードSF」と言うのは、なるほどと思った。
本書は、天文学素粒子物理学、数学、生物学、コンピューターサイエンスなどの先端に近いところのアイデアが満載されている。
ただし、その描写を読者にわかりやすく説明しようと言う努力が余りにも不足していて、非常に読むのが辛い。
それでも読み進んでいくと、わからないなりに凄いことが次々に起こっているということだけはわかるので、誉める人たちがいるのもわからないではない。
しかし、筆者自身が工学部出身だから思うのかも知れないが、サイエンスやテクノロジーを本当に深く理解して愛している人は、門外漢にもわかりやすく説明するというスキルにもっと意識があるのではないかと思う。
解説の大森望氏は、「わからないところはバンバン飛ばす」のが本書の読み方だなどと言っているが、そんな読み方が正解なる本があるとすれば本末転倒な話しだと思う。以前から大森氏の書評には波長の合わないものを感じていたが、本書の解説は極まれりと言う印象だった。悪口になってしまって恐縮だが、個人的には容認できない主張だったので敢えて書かせていただいた。