再読です。今回も図書館。
バトルオーヴァーブリテンに合わせて再読しました。
750ページ2段組みというボリュームですが、読み始めると一気に進んでいきます。ウィリス特有の焦燥感に追われる展開が、最初から最後まで続きます。
序盤は、そもそもタイムトラベルに出させてもらえるかどうかでバタバタします。アイリーンは、バトルオブブリテンの疎開児童の暮らしを、ポリーは、大空襲下のロンドンの暮らしを、マイクは、ダンケルクの大撤退を研究しに行きます。
ところが、全員が大きなズレの発生で予定外の時間に辿り着いてアタフタします。さらに、未来との連絡が途絶えてしまい帰れなくなったのではという不安に襲われます。
そこから先、この時代にいる数少ない同時代人を探して互いを見つけて集合するまでが本巻のストーリーです。
焦燥感に追われ続けるブラックアウトですが、それで所々に名場面があってホッとさせてくれます。
171P
貴族的な紳士が四つ折りにした新聞を手にして立ち上がり、まっすぐポリーのほうに歩いてくる。ポリーの前に立つと、威風堂々たる礼儀正しさで新聞をさしだし、「わたしのタイムズがお役に立てますかな、お嬢さん」とたずねた。
447P
「あとはあなたよ、シオドア」
シオドアは尻ごみした。「帰りたく」
ああもう、またか。そう思ったが、教区牧師はもう口を開き、「シオドア、アイリーンにどうすればいいか教えてやってくれないかな。アイリーンは列車でロンドンへ行ったことが一度もないんだよ」
「ぼくはあるよ」とシオドア。
484P
「ラッピングの練習用?」
「まさか。そんなわけないでしょ」マージョリーが妙な目でポリーを見た。ポリーの手から包みをとりかえして、「あたしが開けてあげる」
中身は黒のスカートだった。
597P
だがサーゴドフリーが口にしたのは「お母さんが早く良くなって、早く戻ってこられることを祈っています。日曜の夜、あなたがここで投票に参加してくれないと、「ピーターパン」を演じる羽目になりそうだ。そんなおそろしい運命がわたしに降りかかることは、もちろんあなたも望まないでしょう」
ポリーは笑った。「ええ。さようなら、サー、ゴドフリー」
683P
そしてメロピーが、こちらに走ってきた。輝くような笑みを浮かべ、まっすぐポリーの腕の中に飛び込んでくる。「ポリー、ああ、よかった。だれかに会えてこんなにうれしかったの、生まれてはじめて!」
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サーゴドフリーと教区牧師がいなかったら、この本はいかに殺伐としていたことかと思い知らされます。