いろいろな論点があるゲームですが、タイミング的に先月プレイした「バーニングブルー」との比較から入りましょう。
「バーニングブルー」は、ブリミコムウッドの「空襲級」の一作です。その名前の通りで、1ターン5分、シナリオで2時間くらい、キャンペーンで一日くらいを扱います。ルフトヴァッフェがフランス上空で集合するのをレーダー検知し、それが接近してくるのを情報収集して、その編成や目的を推理して迎撃機を飛ばします。
「バトルオーヴァーブリテン」は、1ターン5日間、キャンペーンで45日間を扱います。個々の空襲に関する駆け引きは簡略化されてしまって見えにくくなります。その代わりに、中長期的なキャンペーン戦略を問われます。その(主としてルフトヴァッフェの)キャンペーン戦略を、各ターンの空襲と迎撃の応酬の中で推理します。
ですので、シミュレーションのスケールも、ゲームで見せたいものも、一階層異なっている訳です。これはどちらが良いという訳ではなく、単に異なっているので、プレイヤーの好みによってどちらをプレイするか選択するものでしょう。
今回のプレイでは残念ながら丸一日かけても3ターンまでしか進みませんでした。
しかし、この年の秋は異常に雨が多かったことが、第3ターン、第4ターンの天候決定表で理解されます。そして、実際のプレイ展開の中で、もしこの時期に雨が続いていなければ、RAFの迎撃部隊は摩滅していたのではないかということが実感されます。これは、「バトルオーヴァーブリテン」のスケールでないと体感できない部分かと思いました。
また、ルフトヴァッフェ側からすると、第一段階として海峡レーダーを叩き、それによって敵の迎撃対応に不備が生じた段階で飛行場攻撃に移るという段取りを踏んでキャンペーンを進めていくことの合理性が良く感じられました。
ただし、本ゲームでは戦闘の推移が良くないと、総統の口出しが始まって各ターンの戦略目標を上から押し付けられてしまうようになっています。これもまた史実のバトルオブブリテンでのドイツ空軍の目的未達の大きな要因でしたが、そのまま体感できるようになっています。
ちなみに、今回、第1ターンに空襲13回、第2ターンに12回、第3ターンに11回の空襲を実施しました。このくらいの回数の空襲を実施すると、全9ターンでは100回程度の空襲を実行することになりそうです。そうすると、個々の空襲のディティールを追っていてはアンプレイアブルになってしまうので、あっさりとした処理は止むを得ないでしょう。とは言え、その中でも必要な要素は押さえられています。
あと、第3ターンには意図的にいろいろとやってみようと思って、フライエヤークトでタングメア飛行場を空襲してみたり、夜間爆撃をしてみたりしました。そうすると、フライエヤークト、夜間爆撃のメリット、デメリットが見えてきました。そうしたものが見える程度の必要な精細度は持っています。
プレイした感想としては、二日間コースなら二人で終わりまで対戦可能であり、サブシステムはいずれも上手く機能しており傑作と呼ぶべき存在だと感じました。
箱裏のプレイ時間に「75時間」と書いてあることから押入れで埃をかぶっているようであれば、一度、埃を払ってみる価値があると思います。