DVDボックスの埃を払ってみました。
2002年に発売とあり、購入直後に全部見たはずですから19年ぶりということになります。
第一話は「非常階段」。
森田健作と水谷豊が新人として警備会社に加入。その研修にふらりと現れた吉岡司令補(鶴田浩二)は、「研修で犯人に近づき過ぎるなと聞いていても、必ず諸君の中の何人かは近づき過ぎてケガをすることになる。それは自分の弱さを知らないからだ」と。
そして、6人の男性研修者を指名して、自分を取り囲ませ一斉に掛からせ、それをアッという間に蹴散らして見せる。蹴散らされた側の水谷はすっかりおかんむりに。
その頃に新築された高層マンションが自殺の新名所として週刊誌に扱われる。マンション側から自殺予防を警備依頼され、吉岡は森田と水谷の二人と滞在警備を担当する。
そんな折、4人目の自殺者と疑わしき女性(桃井かおり)がマンションに侵入してくる。
水谷が発見したが、自分のサボリを監視する吉岡ではないかと勘違いしてしまう。しかし、水谷の証言から異常を感知した吉岡は、女の屋上到達を阻止しようとする。だが、女は意外にも判断よく機敏に動いて水谷を出し抜いて屋上へ。その動きぶりを見た吉岡は、とても「後は死ぬだけ」と絶望している人間の挙動ではないと考える。
今となっては水谷豊も「相棒の右京さん」として大物になりましたが、この頃は鶴田浩二からはチンピラ扱いです。県知事になった森田は一定の存在感を見せますが、まぁ鉄砲玉くらいの感じです。役者の格と言うのは不思議なもので、外的な権威(たとえば階級)に助けられなくても、ちゃんと大物とその他は全然ちがって見えるものです。
桃井かおりを殴って「簡単に死のうなどと思うな」と特攻時代の話しをする鶴田浩二は、本シリーズの通奏低音です。
鶴田浩二自身は狭義の特攻隊員の生き残りではなく、特攻機の整備兵だったそうです。しかし、体当たり突撃で死ぬために飛び立っていく戦友を幾度も見送った重味は本物です。この事実は本エピソードを含め、本シリーズには正しく反映されていて「墓場の島」や「戦場は遙かになりて」などでも繰り返し語られます。
鶴田は水谷に向かって「俺は若いやつが嫌いだ」と言い続けます。
水谷の奥の深い所は、「俺はあんたのこと嫌いじゃないよ」と言い、「中年にしちゃ骨がありそうだしな」と変な風に上から目線で応じる所です。